« 加賀100万石藩祖前田利家が眠る野田山墓地、菩提寺の宝円寺、神として祀る尾山神社、とは(2009.7.29) | トップページ | 阿波踊り(徳島)と北前船(日本海の商船、撫養~大阪~瀬戸内海~日本海~北海道、西廻り航路)にまつわる歴史逸話、盆踊り(念仏踊り)、阿波踊りの歴史、とは(2009.8.14) »

2009年7月29日 (水)

兼六園の曲水中の玉石、尾小屋鉱山下の梯川(小松、石川)水中の礫石に付着した藻による水質浄化、うまい鮎(アユ)は日本のどこの川にいるのか、とは(2009.7.29)

   兼六園の中を流れる曲水の水は、犀川の源水と同じ名水です。ところが、犀川源流下の辰巳用水の取水口水がかなり汚れています。これらの水は、ここから少し下った末(すえ)浄水場の横の水路あたりから専用の地下導水管を通って兼六園の山崎山の裏まで送られ、ゴミを取り除き沈砂池に入れられた後、園内に流れ込んでいます。

 兼六園の曲水は、沈砂池から霞ヶ池までが約570m、幅3~4mのせせらぎであり、花見橋付近と千歳橋下流から板橋付近までの約130mほどの曲水の河床直径5~10cmほどの玉石(ぎょくせき、たまいし)が約12万個ほど敷き詰められてさざ波をたてて美しい流れとなっていますが、下流に行くほど河床の玉石に汚れが目立っています。

 見た目は汚く見えますが、これは(も、緑藻、りょくそう藍藻、らんそう、珪藻、けいそう、など)が光合成により水の中の生物が生きていくために必要な酸素を供給し、また水中の細かい泥を自分のからだに付けて曲水の浄化を行っている姿にも見えます。

001

曲水中の玉石の藻(兼六園、金沢、石川)

(解説) 自然の河川では、玉石のような礫石(れきせき)に付着した藻は、降水による水量と流速などの変化により、自然に剥離(はくり)し、また新たに付着し、水中の細かい泥の微粒子もその表面にくっつけて泥まみれになり、水質浄化を繰り返し行っています。

 兼六園の曲水では、さざ波がたつ程度の流域は藻の自然の剥離が行われずに汚れが目立っています。そこで、曲水の美観が損なわれないよう、2~3日に1回、竹ぼうきで水底をはき、玉石に付着した汚泥だけは除去しているそうです。

 ところで、1971年(昭和46年)末閉山の尾小屋鉱山(小松、石川)では、主に黄銅鉱が採掘され、採鉱と選鉱に伴う鉱山廃水の汚染により、梯川(かけはしがわ)水系の郷谷川(ごうたにがわ)と梯川の一部を含む約16kmの水域には、生物はほとんど生存しなくなっていました。

 1997年(平成9年)頃、旧尾小屋(おごや)鉱山(小松、石川)下の梯川(かけはしがわ)の鉱毒汚染と水質浄化を河底の礫石に付着した藻類、特にケイソウ(珪藻)の分布状態を調べたことがあります。この時、尾小屋鉱山近くの梯川の岸辺には、重金属耐性のコケ植物(ホンモンジゴケ、キヘチマゴケ)、シダ植物(ヘビノネゴザ)が群生しているのが見られました。

Images1_19

河川の岸辺のシダ植物ヘビノネゴザ河床の礫石の藻梯川流域、小松、石川)

Images1_23

ケイソウの顕微鏡写真(1~6 マガリケイソウ、 7~8 コバンケイソウ

(解説) 尾小屋鉱山に近づくほど藻類中の重金属濃度が高く、特に銅が多く検出され、また、銅、亜鉛、鉛、カドミウムなど鉱山から排出される重金属に耐性が強いとされるマガリケイソウ、コバンケイソウが上流ほど多く、ここでは魚は認められず、下流に行くに従って、この種が減少、他の種類が増える傾向が見られました。 一方、ごく普通の河川に見られるヒゲモが見られる下流方面では、アユやウグイなどの魚が生息するようになっていました。

 また、1999年(平成11年)9月4日(土)、かっては(1955年(昭和30年)頃)、三井神岡鉱山によるカドミウム汚染によるイタイイタイ病(国が認めたのは1969年(昭和44年)頃)で問題となっていた、富山県の神通川流域の水質を河底の礫石に付着している藻類、特にケイソウの分布状態により調査したことがあります。その結果、神岡鉱山の近くの神通川の上流では、尾小屋鉱山下の梯川の上流のような重金属汚染は認められませんでした。

 その日の朝日新聞の朝刊に、河川環境の指標となるアユを食べ比べて自然保護を考えよう(清流を復活させたい)と、高知県友釣連盟(内山顕一、代表理事長)が、3日、初の利きアユ全国大会を高知市内で開いたこと、四万十川はじめ、新潟や愛知、和歌山など10県の27河川からとれた約2500匹を、橋本大二郎知事ら約200人が食べ比べたこと、姿、香り、身など5項目で吟味、さらにアユの塩焼きなども食べた市民による人気投票もあり、最優秀に富山県の神通川のアユが選ばれた新聞を目にして驚き、その記事をスクラップして地元の方にお見せしたことがあります。

Images2_111_3
 

アユの味比べ(高知、1999年(平成11年)9月4日(土)、朝日新聞朝刊、きれいな川にはうまいアユ、高知で味比べ) 

神岡鉱山(岐阜)にまつわる歴史実話、イタイイタイ病(カドミウム汚染、神通川流域)、アユの味日本一(神通川、第1回全国利きアユ大会)、神岡鉱山(近年の周辺の景色)、とは(本浄高治編): http://kanazawa.typepad.jp/weblog/2010/10/kagakufudoki136.html.

(解説) その後、2008年(平成20年)11回までにグランプリをとったのは、高知県内の4河川(安田川は2回、野根川、松葉川、新庄川)、和良川(岐阜県)、宇佐川(山口県)、雫石川(岩手県)、寒河江川(山形県)、損保川(兵庫県)、長良川(岐阜県)で、気象条件なども含め、その年に最もアユに適した環境が保たれていた川のアユが一番おいしかったそうです。

Images1_25

日本の川で普通に見られるケイソウの顕微鏡写真  ケイソウ(珪藻、ウィキペディア):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%AA%E8%97%BB

(解説) 日本の川で普通に見られるケイソウ(珪藻)は約350種ほど、そのうちアユが生息できる程度のきれいな水域では、約280種ほどのケイソウがあるそうです。アユは、河底の礫石の表面に付着する藻類(藍藻、緑藻、珪藻など)を食(は)むなど、いわゆる、石垢(イシアカ)、コケを食むのですが、なわばりでその回数が多くなるほど、そこのコケは栄養価の高い藍藻(糸状藍藻)が増えていき、それを食べたアユはよく育つとのことです。

 日本各地の河川に放流されている琵琶湖のコアユは、陸封されたために成長が止まったもので、一般の河川に放流すれば大きく育つことを、石川千代松氏、1860年(安政7年)~1935年(昭和10年)、(東京帝国大学教授)は、1913年(大正2年)の春、琵琶湖のコアユを東京の多摩川釜ガヶ淵に放流し、そこで夏に大きく育ったコアユを確かめ証明されました。この学術研究により、日本各地で釣り用の稚魚のアユの放流事業が盛んとなり、今日に至っています。

 私は、琵琶湖の近くの高島(新旭、滋賀)の親戚に、1960年(昭和35年)頃、おじゃましたことがあるのですが、琵琶湖に注ぐ近くの小さな川(水路)の河底が真っ黒になるほど、コアユが遡上しているのを見たことがあります。

(参考文献) 株式会社橋本確文堂企画出版室編: 特別名勝兼六園ーその歴史と文化ー、本浄高治、兼六園と文化・水の文化ー兼六園の中の名水ー、橋本確文堂(1997); 中西、墨田、弓田、山田、本浄: 石川県尾小屋鉱山下の梯川及び鄕谷川における重金属汚染とその藻における状態(英文)、Anal.Sci.20巻、p.73~78(2004); 山田隆史、墨田迪彰、中西良明、本浄高治: 石川県旧銅山下の河川における付着珪藻群集の分布と化学種分析からみた重金属汚染状態、分析化学、53巻、p.883~889(2004). 

(参考資料) 石垢の話: http://www5e.biglobe.ne.jp/~tomozuri/isiaka.html; 富山県鮎釣りWorld: http://turiworld.net/toyama.html; 彦根観光協会、観光情報: 石川千代松像http://www.hikoneshi.com/sightseeing/?itemid=337; 小鮎塚と石川千代松博士http://www012.upp.so-net.ne.jp/sawayaka/newpage093.html 

(追加説明) 

〇 (あゆ)は、川魚の王として、万葉の昔から賞味(塩焼き、鮎ずしなど)されてきました。鮎には、独特の香味がある香魚とも言われ、また、その腸、子の塩漬け(うるか)は、珍味とされています。アユという名は「落ちる」という意味の古語「あゆる」からという説があります。

 川魚で、より上流に山女(やまめ)、さらに上流に岩魚(いわな)が棲息しています。岩魚は、冷寒な水を好み、一生淡水に留まる、あめ鱒(ます)の陸封された肉食種で、昆虫などを飛びついて食べ、時には蛇を捕らえて食うという。本州、四国、北海道の高さ1000mほどの山間渓流にも棲息し、黒部峡谷の岩魚釣りは有名です。独特の風味ある美味しい魚です。

〇 梅花藻(ばいかも)

 夏の花として、日野山(標高794m)の麓、福井県越前市の上真柄町の治左川では、かれんで白い小花が夏の主役になっています。清流でしか見られないキンポウゲ科の水生多年草「梅花藻(ばいかも)」。猛暑の中、訪れる人たちを涼やかに迎えている。

_20170803_3

清流の水面い涼やかに咲く梅花藻、福井県越前市の治左川で、梅花藻が約300mに渡って群生。水温14℃前後の透き通った流れの中で、緑色の藻と4月中頃から咲き始めた、白い花畑が揺らぐ神秘的な景観を10月まで楽しめる。

 川はレッドデータブックの絶滅危惧種に指定される淡水魚「トミヨ」の県内唯一の生息地。石垣で築いた川縁には、野菜などを洗う「外川端(そとかばた)」の石畳が数カ所あり、水と共に暮らす穏やかな時間が流れている。(2017年7月20日(木)、奥田啓二、北陸中日新聞より)

« 加賀100万石藩祖前田利家が眠る野田山墓地、菩提寺の宝円寺、神として祀る尾山神社、とは(2009.7.29) | トップページ | 阿波踊り(徳島)と北前船(日本海の商船、撫養~大阪~瀬戸内海~日本海~北海道、西廻り航路)にまつわる歴史逸話、盆踊り(念仏踊り)、阿波踊りの歴史、とは(2009.8.14) »

● 金属鉱山(尾小屋、神岡、足尾、別子、生野、石見、佐渡、菱刈、土呂久)、神社仏閣(池上本門寺、吉田神社)、浄化(ヘビノネゴザ、ホンモンジゴケ、リョウブ、鉄バクテリア、藻類)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1802629/48308599

この記事へのトラックバック一覧です: 兼六園の曲水中の玉石、尾小屋鉱山下の梯川(小松、石川)水中の礫石に付着した藻による水質浄化、うまい鮎(アユ)は日本のどこの川にいるのか、とは(2009.7.29):

« 加賀100万石藩祖前田利家が眠る野田山墓地、菩提寺の宝円寺、神として祀る尾山神社、とは(2009.7.29) | トップページ | 阿波踊り(徳島)と北前船(日本海の商船、撫養~大阪~瀬戸内海~日本海~北海道、西廻り航路)にまつわる歴史逸話、盆踊り(念仏踊り)、阿波踊りの歴史、とは(2009.8.14) »

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

カテゴリー

フォト

アクセス解析

無料ブログはココログ