白山スーパー林道(石川)の蛇谷渓谷と紅葉(こうよう)、秋の夕日に照る山紅葉(やまもみじ)、冬芽、落葉帰根、とは(2009.11.4)
白山スーパー林道(石川)の蛇谷渓谷は、紅葉の名所ともなっていますが、その主な樹種は、ブナ、イタヤカエデ、ナナカマド、ヤマウルシと言われています。白山スーパー林道(特定森林地域開発林道、総延長33.3km)は、石川と岐阜を含む未開発森林資源の開発を目的として、1967年(昭和42年)に着工、1977年(昭和52年)8月に開通しました。
白山麓の中宮、尾添(白山市、石川)から白川郷、鳩ヶ谷(大野郡、岐阜)まで、全線2車線(幅6.5m)で、通常は、6月5日から11月10日まで通行できます。白川郷と近くの五箇山(南砺市、富山)の合掌造り集落は、1995年(平成7年)12月9日、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されています。
白山スーパー林道の紅葉(蛇谷渓谷、じゃだにけいこく、石川)
秋になると、気候の変化のため、葉中に生理的な反応が起こって、大体の落葉樹(モミジ、ケヤキ、イチョウ、ブナなど)は赤(紅葉)、黄(黄葉)、橙(褐葉)などに色づきます。その種類は多いのですが、中でも鮮麗なのが紅葉(こうよう、もみじ、カエデ科の落葉樹)、楓(ふう、かえで、マンサク科の落葉樹)です。一般に新緑にすぐれた土地は紅葉にもすぐれています。秋も深まり、気温が10℃以下で色づき始め、霜が降りるようになると、紅葉は一段とあざやかさを増します。
有名な童謡唱歌、紅葉(もみじ)は、信州(長野)の高野辰之作詞、岡野貞一作曲の作品です。この詩は、高野博士が郷里と東京を往復するのに使った信越本線、熊ノ平駅付近から見た風景を詠んだと言われています。1911年(明治44年)刊行の尋常小学校唱歌(二)に発表されました。紅葉(もみじ)には、ヤマンモミジ、イロハモミジなどの種があり、ここでは、秋の夕日に照らされた美しい山紅葉(ヤマモミジ)、また、松の緑と楓(かえで)及び蔦(つた)の紅葉と織りなす山麓の美しい風景を詠っていると感じました。
秋の夕日に照る山紅葉(やまもみじ) 濃いも薄いも数ある中で 松を色どる 楓(かえで)や蔦(つた)も 山のふもとの裾模様(すそよう)
渓(たに)の流れに散り浮く紅葉(もみじ) 波にゆられて離れて寄って 赤や黄色の色様々に 水の上にも踊る錦(にしき)
(解説) 紅葉(こうよう)のしくみは、 晩秋になると、気温が低下、葉の根元に瘤(こぶ、離層)ができ、葉から茎への物質の移動が困難となり、葉の組織内に糖分(ブドウ糖、蔗糖など)が蓄積され、これらの成分からアントシアニンという紅色の色素(鮮紅色、紫赤色の色素、アントシアニジンの配糖体)が形成されます。同時に、葉の中のクロロフィルという色素(緑色、葉緑素、マグネシウムのテトラピロール環中心配位体)は分解され、葉は赤く色づき、紅葉となります。
イチョウ(銀杏)のように、アントシアニンが形成されない葉では、クロロフィルが分解されると葉の組織内のカロチノイドという色素(黄色から赤色又は紫色のポリエン色素、テルペン類)が目立つようになり、葉は黄色に色づきます。アントシアニンの形成とカロチノイドの程度によって葉はさまざまな色調を示すことになります。また、ブナのような褐葉では、タンニンとつながりのある成分が褐色に色づいていると言われています。
落葉樹の紅葉(桜田町近く、歩道沿い、金沢)
木の葉には一定の寿命があり、紅葉、黄葉となった後、葉柄の付け根の離層(りそう)から離れることを落葉(らくよう)と言い、落葉樹では、秋に集中しています。植物は、落葉に際しては、葉の有用な光合成物質(糖分、デンプン、タンパク質など)を茎の方へ移し、また、不要な物質(代謝物のシュウ酸、大気汚染物質など)を葉の組織に移動させますので、落葉により老廃物を除去している姿にも見えます。また、冬になると乾燥するので、植物は、葉を落として体からの水分の蒸散を防ぎ、身を守っているとも考えられます。常緑樹では、一年を通し少しずつ新しい葉と入れ替わるのですが、特に、春から夏に集中して落葉するものが多いようです。
中国の諺、樹高千丈(じゅこうせんじょう)、落葉帰根(らくようきこん)は、樹木がどんなに高くても、落ちる葉は、また、根元に帰り、腐葉土となり、木を育てると言う。これは、中国禅宗六祖、慧能(えのう)、638年(貞観12年)~713年(先天2年)の言葉で、人間が年老いて昔を懐かしみ、生まれ育った故郷に帰りたくなる思いを、高木の落ち葉に喩えた、とも言われています。
(参考文献) 大木道則、大沢利昭、田中元治、千原秀昭編、化学事典、東京化学同人(1994); 岩瀬徹、大野啓一: 写真で見る植物用語、全国農村教育協会(2004).
(参考資料) 白山スーパー林道の紅葉(google画像): http://images.google.co.jp/images?sourceid=navclient&hl=ja&rlz=1T4GGIH_jaJP278JP279&q=%E7%99%BD%E5%B1%B1%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E6%9E%97%E9%81%93%E3%81%AE%E7%B4%85%E8%91%89&um=1&ie=UTF-8&sa=N&tab=wi;
山紅葉(ヤマモミジ、google画像): http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4GGIH_jaJP278JP279&q=%e3%83%a4%e3%83%9e%e3%83%a2%e3%83%9f%e3%82%b8;
紅葉(モミジ)の歌の作詞(高野辰之、長野): http://www.dynax.co.jp/sinsen/shinano/song/tatsuyuki.html;
紅葉(モミジ)の歌の作曲(岡野貞一、鳥取): http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=89649
○ 日本の懐かしい童謡、唱歌など、(歌詞と視聴、ごんべ007の雑学村): http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/00_songs.html.
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