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2010年10月21日 (木)

神岡鉱山(岐阜)にまつわる歴史実話、鉱石、イタイイタイ病(カドミウム汚染、神通川流域)、アユの味日本一(神通川、第1回全国利きアユ大会)、神岡鉱山(周辺の景色)、とは(2010.10.21)

   四日市ぜんそく(三重)、イタイイタイ病(富山)、阿賀野川水銀中毒(新潟水俣病とも、新潟)、水俣病(熊本)は、産業優先の高度成長末期、激しい健康被害を受けた被害者が損害賠償を請求した訴訟で、四大公害訴訟(よんだいこうがいそしょう)と呼ばれています。

 神岡(かみおか)は、岐阜県北部、吉城(よしき)郡(のち飛騨市)の町で、中心の船津は飛騨山地を流れる高原川流域にある鉱山集落で、銅、亜鉛、鉛、銀などを含む鉱石を多産する三井金属鉱業神岡鉱山(かみおかこうざん)の製錬所と社宅が集まっています。

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銅 鉛 亜鉛 鉱石(黄金色の鉱物は、黄銅鉱(CuFeS2)、鉛灰色は方鉛鉱(PbS)、黒褐色は閃亜鉛鉱(ZuS)、黄白色は黄鉄鋼(FeS2)、下の灰白色の部分は鉱化作用をまぬがれた晶質石灰岩、神岡鉱山 茂住抗(岐阜)産、神岡鉱山資料館蔵、google画像)

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鉛 亜鉛 鉱石(鉛灰色の鉱物は方鉛鉱(PbS)、黄褐色は閃亜鉛鉱(ZnS)、桃色の部分は菱マンガン鉱(MnCO3)で、金(Au)と銀(Ag)も含む、上国鉱山(北海道)産、神岡鉱山資料館蔵、google画像)  神岡鉱山資料館(バーチャルミュージアム、神岡町、吉城郡、のち飛騨市、岐阜県): http://dac.gijodai.ac.jp/vm/virtual_museum/database/page/H11-PCD2583-014.html

(解説) 神岡鉱山(かみおかこうざん)は、岐阜県神岡町にある日本最大の亜鉛、鉛、銅、銀の鉱山です。江戸時代から金森宗貞(かなもりむねさだ、のち打它宗貞、うたむそうてい、茂住宗貞、糸屋彦次郎とも)、1559(永禄2)~1643(寛永20)、が開き、採掘が進み、茂住(もずみ、神岡)などの鉱山も開き、金山奉行を務めました。1874年(明治7年)以降、三井鉱山三井グループによって近代的経営が始まりました。1986年(昭和61年)の合理化で三井金属鉱業から分離独立、神岡鉱業となり、 亜鉛鉱山として、亜鉛、鉛、銀、金の地金のほかに、金属粉の製造を行っていましたが、2001年(平成13年)、神岡鉱山鉱石採掘は中止となりました。

 カドミウム汚染は、亜鉛や銅の鉱山、製錬所から排出される有害金属カドミウムによる農地汚染(カドミウム汚染米!)のことで、イタイイタイ病の原因となりました。1ppm(ppmは百万分率、100万分の1という極めて少ない量)以上含有の玄米を生産する水田は、農用地土壌汚染防止法により土地改良の対象とされました。1997年(平成9年)末現在、水田からカドミウムを除去する対策を必要とする指定の農地は、富山県神通川流域や秋田県平鹿地方など全国57地域で6110haに上り、その内の6割弱が客土などの対策を完了しました。

○ イタイイタイ病(神通川流域、富山県)

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イタイイタイ病左図 カドミウム汚染程度別地域区分、右図 50歳以上女子人口に対するイタイイタイ病患者有病率、神通川流域、富山、google画像) イタイイタイ病(イタイイタイ病の発見、金沢医科大学公衆衛生学教室ホームページ): http://www.kanazawa-med.ac.jp/~pubhealt/itaiitai/itai1.html

(解説) イタイイタイ病は、富山県神通川流域の農村に多発し、大正年間(1912~1926)以来、中年婦人、特に頻回(ひんかい)経産婦に多く見られる骨軟化症様の病気で、四肢、骨盤、脊椎、肋膜に変形、萎縮、骨折を来たし、わずかな刺激で病的骨折が起こり、日夜苦痛を訴えました。カドミウムによる腎障害から、カルシウムの再吸収が妨げられて起こると考えられています。

 金属鉱山から流出したカドミウムが体内に蓄積して骨軟化症や腎臓障害を起す公害病で、全身に激痛を伴います。富山県神通川流域で発生したイタイイタイ病は、1955年(昭和30年)、その地域の萩野昇(はぎののぼる、1915~1990)開業医により発見され、1968年(昭和43年)5月、厚生省(のち厚生労働省)は、岐阜県三井金属鉱業神岡鉱山から流出したカドミウムが原因であると認めました。

 1967~1969年(昭和42~44年)に訴訟され、反公害世論の高まりを背景に、1971~1973年(昭和46~48年)の間、いずれも被害民が第1審で勝訴、確定しました。この裁判の過程で、企業と癒着(ゆちゃく)した行政の責任、また企業側証人としていたずらに論点をはぐらかし、原因究明を遅らせた科学者の責任が浮き彫りにされました。四大公害訴訟で確定した金銭賠償方式は、1973年(昭和48年)の公害健康被害補償法で制度化されましたが、賠償額の増大は、新たに認定問題を生みました。1997(平成9年)年末、現存認定患者は9人(総数156人)でした。

○ アユの味日本一(神通川、第1回 利きアユ全国大会)

 1999年(平成11年)9月4日(土)、イタイイタイ病で社会問題となった富山県の神通川流域の水質を河底の礫石に付着している藻類、特にケイソウの分布状態により調査したことがあります。その結果、神岡鉱山下の近くの神通川や下流では、一般に鉱山から重金属(銅、亜鉛、鉛、カドミウムなど)が排出された時に見られるマガリケイソウ、コバンケイソウなどの分布は観察されず、重金属による水質汚染は認められないことが分かりました。

 その日の朝日新聞の朝刊に、河川環境の指標となるアユを食べ比べて自然保護を考えよう(清流を復活させたい)と、高知県友釣連盟(内山顕一、代表理事長)が、9月3日、初の利きアユ全国大会を高知市内で開いたこと、四万十川はじめ、新潟や愛知、和歌山など10県の27河川からとれた約2500匹を、橋本大二郎知事ら約200人が食べ比べたこと、姿、香り、身など5項目で吟味、さらにアユの塩焼きなども食べた市民による人気投票もあり、最優秀に富山県の神通川のアユが選ばれた新聞を目にして驚き、その記事をスクラップして地元の方にお見せしたことがあります。 

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アユの味日本一神通川)、第1回 利きアユ全国大会、高知、1999年(平成11年)9月4日、朝日新聞朝刊、より)

(解説) 2008年(平成20年)11回までにグランプリをとったのは、神通川(富山)、高知県内の4河川(安田川は2回、野根川、松葉川、新庄川)、和良川(岐阜県)、宇佐川(山口県)、雫石川(岩手県)、寒河江川(山形県)、損保川(兵庫県)、長良川(岐阜県)で、気象条件なども含め、その年に最もアユに適した環境が保たれていた川のアユが一番おいしかったそうです。その後、2009年(平成21年)の第12回グランプリは、寒河江川(山形県)、揖保川(兵庫県)、2010年(平成22年)の第13回グランプリは、揖保川上流(兵庫県)のアユであったという。( 第13回 清流めぐり利き鮎会、2010年(平成22年)9月、高知): http://tollotjoe.livedoor.biz/archives/51624852.html#.)

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神岡鉱山(かみおかこうざん、神岡鉱山と製錬所、2004年(平成16年)9月25日(土)、調査、撮影)

 私は、1973年(昭和48年)7月19~23日、金沢大学理学部化学教室(木羽敏泰教授、寺田喜久雄助教授、松本健技官、飴野清研究生)と共に、神通川上流の高原川本流及び支流、梓川上流の上高地周辺、旧平金鉱山廃坑を中心とする小八賀川上流地域での河底泥(でい)採取の調査研究で、はじめて神岡鉱山を訪れ、また、神岡製錬所を見学させていただいたことがあります。その後、何回かマイカーでここを訪れたことがあります。

 神岡鉱山の山麓や製錬所、神通川周辺には、金属鉱山に特有のシダ植物、ヘビノネゴザの散生あるいは群生が見られましたが、そのヘビノネゴザの根には、土壌中の重金属量に比例して、多量の亜鉛、鉛、少量の銅などの重金属の蓄積が著しいことを確認しました。 

(参考文献) 下中邦彦編: 小百科事典、平凡社(1973); 木羽敏泰、寺田喜久雄、本浄高治、松本健、飴野清: 濃度相関マトリスクによる河底でい試料の相関性の検討、分析化学、24巻、p.18~25(1975); 岐阜県高等学校教育研究会社会科部会(編集委員長、近藤晋潤)編: 岐阜県の歴史散歩、山川出版社(1990); 原慶二(監修): 日本史事典、岩波書店(1999); 本浄高治: 金沢大学日本海域研究所報告、第30号、p.171~193、重金属と指標植物ー自然環境の回復-(1999);  朝日新聞(朝刊): きれいな川にはうまいアユ、高知で味比べ、1999年(平成11年)9月4日(土); 朝日新聞(朝刊): 味の決め手は川の環境? 日曜 ナントカ学2、2007年(平成19年)6月24日(日)、より.

(参考資料) 三井金属リサイクル株式会社神岡鉱業株式会社、産業廃棄物処理含む):http://www.mitsui-kinzoku.co.jp/group/mkr/office.html

神岡鉱山(気ままに鉱山、炭坑めぐり、神岡(のち飛騨市)、岐阜): http://wing.zero.ad.jp/~zbc54213/kamioka01.html

イタイイタイ病(google画像): http://www.google.co.jp/images?hl=ja&rlz=1T4GGIH_jaJP278JP279&q=%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%82%A4%E7%97%85&lr=&um=1&ie=UTF-8&source=og&sa=N&tab=wi

鮎釣りWorld(富山県): http://turiworld.net/toyama.html; アユ)は、川魚の王として、万葉の昔から賞味(塩焼き、鮎ずしなど)されてきました。鮎には、独特の香味がある香魚とも言われ、また、その腸、子の塩漬け(うるか)は、珍味とされています。

スーパーカミオカンデ(東京大学宇宙線研究所、付属神岡宇宙素粒子研究施設装置、東茂住、神岡町、飛騨市、岐阜県): http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/location.html

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● 金属鉱山(尾小屋、神岡、足尾、別子、生野、石見、佐渡、菱刈、土呂久)、神社仏閣(池上本門寺、吉田神社)、浄化(ヘビノネゴザ、ホンモンジゴケ、リョウブ、鉄バクテリア、藻類)」カテゴリの記事

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