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2010年12月13日 (月)

アマエビ(甘海老)、富山湾のアマエビは氷河期の生き残り、雄性先熟(オスからメスに性転換)、赤い体色で甘く栄養が高い、とは(2010.12.13)

 日本人は、昔からエビが大好きな民族ですが、その約8割を占める輸入エビは、クルマエビ(車海老)の仲間が多く、褐色、赤色、淡紅色、白色など固有の体色で大別されています。これらのエビは、おもにインド、インドネシア、オーストラリア、中米など、暖かい南の海沿岸域で打瀬網など用いて漁獲されています。

 アマエビ(甘海老)の仲間は、日本海から北海道のほか、北極を囲む、北太平洋、北大西洋に広く分布しています。特に、ベーリング海、アラスカ、カナダ西岸、アイスランド、グリーンランド、ノルウェーなど、寒い北の海深海域で底引網、かご(籠)など用いて漁獲され、日本へ多量に輸入されています。アマエビは、ホッコクアカエビ(北国赤海老)の市場における呼び名です。

アマエビ(甘海老、ホッコクアカエビとも、石川の四季のさかな、google画像、農林水産部水産課、石川県)

(解説) 石川県の代表的な一品として、舌先でトロッととろけるアマエビ(甘海老)の生の刺身があります。アマエビの学名は、ホッコクアカエビ(コエビ亜目、タラバエビ科、タラバエビ属)、別名トウガラシエビ、ナンバンエビとも呼ばれています。体はやや細長く、全体が淡紅色で、体長が約10cmです。島根県以北の日本海、オホーツク海から北太平洋、北大西洋西部に分布し、陸棚斜面の砂泥の海底で、水深は200~500m、水温は0~8℃近く、冷たい深海に生息しています。

 山陰地方で獲れるアマエビに似たエビに、ドロエビ(泥海老、モサエビ、クロザコエビとも、エビジャコ科)があります。また、北海道、千島、樺太に分布する寒海性のアマエビに似た体長13cmほどのエビに、ホッカイエビ(北海海老、ホッカイシマエビとも、タラバエビ科)があります。これらの種も、雄性先熟、いずれもアマエビの仲間のようですが、アマエビとは別種のエビという

   

富山湾の海洋構造模式図、夏に北から見た様子、google画像、富山県水産試験場、富山) 富山湾は、駿河湾、相模湾に次いで、全国で3番目に深い湾です。沿岸から10~20kmの所で深さが1000mに達する急深な海底地形が特徴です。 富山湾を科学する(富山県水産試験場からの報告、No2、2002年): http://www.pref.toyama.jp/branches/1661/suisan/no02.html

(解説) 富山湾アマエビは、10cm足らずの小型の赤いエビで、かって日本海域氷河期の頃生き残りとも言われています。それは、富山湾には、北アルプスの雪解け水が深海にまで流れ込むからです。そのため、深海の海水温度が極めて低い。今から1万5000年前、世界中の海に分布していたオキアミの一種アマエビは、氷河期が終わりを迎え、間氷期(かんぴょうき)に入ってからも、富山湾が氷河期と同じ海域を保っていたので、そこで生き残ることが出来たという。すなわち、富山湾の深海は氷河期の環境を残存していたという。

 アマエビは、成長の過程で性転換する雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)のエビで、若い時はオス、成長してメスになります。その性転換は、ふ化後4~6年目の春に起こるという。卵を抱いたメスは、200~300mの少し浅い場所へ移動し、稚エビを放出します。寿命は11年程度で、3度ほど産卵して一生を終えるという。四季を通して漁獲されますが、晩秋から初春にかけてが旬です。ことに冬は、緑色の卵をたっぷりと抱えて、味が一段とよくなる時期です。おもに底引網で獲られますが、水深300m程の所に、かご(籠)を仕掛けて獲る、エビかご漁も行われています。

 このエビの生のトロッとした甘味は、グリシン、アラニン、セリンなどのアミノ酸類によるものです。特に、グリシンが体液中に大量あり、他のアミノ酸は補助的に含まれています。グリシンは最も簡単な化学構造(NH2CH2COOH)をした唯一の甘味を持つアミノ酸です。その名前の由来は、ギリシャ語、glukus(sweet)、「甘い」、という。これらのアミノ酸は、マツバガニ、ホタテガイなどの甘味成分ともなっています。また、アマエビの赤い体色成分は、キサントフィル類のカロチノイドの一種で、アスタキサンチンと呼ばれるものです。

 アマエビは、美味しいばかりでなく、そのタンパク質は、100g中に20gとタイ(鯛)より多いという。また、タウリンも多く含まれ、脳卒中、高血圧、心臓病などの成人病の予防食としても大いに効果があるという。最近では、殻の中にキチンがあり、これがコレステロールの低下や脂肪分の代謝促進に効果があることも知られています。

(参考文献) 下中邦彦編: 小百科事典、平凡社(1973); 新村出: 広辞苑、岩波書店(1991); 石川化学教育研究会編: 科学風土記ー加賀・能登のサイエンスー、p.64~65、板垣英治、アマエビはなぜ甘い?、裳華房(1997); 石川県農林水産部水産課(鞍月、金沢市): 石川の四季のさかな、春: カレイ、サヨリ、夏: イカ、秋: アマエビ、冬: ズワイガニ、コウバコガニ、ブリ(パンフレット、2010)、金沢港いきいき魚市(無量寺町、金沢市): アマエビ(甘海老、No,21、p.42~43、パンフレット、2010).

(参考資料) ○ ホッコクアカエビ(甘エビ、市場魚貝類図鑑): http://www.zukan-bouz.com/ebi/tarabaebi/tarabaebi.html

石川の四季のさかなのさかな、あまえびほか、農林水産部水産課、石川県): http://www.pref.ishikawa.lg.jp/suisanka/siki/siki.html

○ イセエビ(伊勢海老)

 イセエビは中部以南の太平洋岸と九州の西岸でとれる大型のエビです。もと三重県の伊勢地方でよくとれたのでこの名があります。小さなもので150~160g、大きいものになると700~800gあります。パーティーなどに供されるものは、おおよそ300~400gです。生きたままで刺身にしたり、具足煮、鬼殻焼、ボイルなどの方法で調理します。

 

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