« 春の七草にまつわる歴史伝承、七草粥(ななくさがゆ)、秋の七草との違い、とは(2011.1.7) | トップページ | ライチョウ(雷鳥)、立山(富山)のライチョウ生息数は日本一(留鳥)、白山の雷鳥、氷河期の生き残り(遺存種)、雷鳥の名の由来、霊山の神の使い(霊鳥)、とは(2011.1.24) »

2011年1月11日 (火)

レアメタル(希少金属)の産地、先端産業(高機能材、電子機器、自動車)に不可欠、リチウムイオン電池、リチウムの産地、私の体験(溶媒抽出・国際学会、金属鉱山の見学)、とは(2011.1.11)

   最近、レアメタル希少金属、きしょうきんぞく)という言葉を、よく耳にします。なかでも、インジウム(In)、リチウム(Li)、レアアース(希土類、La~Lu)、プラチナ(白金、Pt)などは、液晶テレビ、携帯電話のバイブレーターをはじめ、次世代のハイブリッド車及び電気自動車などをつくるのに不可欠です。が、これらの主な産地は、中国南アフリカなどに偏在(へんざい)しているので、世界的な獲得競争が激化しています。

○ レアメタルの主な産地

 レアメタル希少金属、きしょうきんぞく)は、存在量そのものが少ない、広く分布していても経済的に採掘可能な鉱床が少ない、または、単体として抽出するのが困難などの理由で、産出の少ない金属の総称です。

Images4_11

レアメタル世界の主な産地、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、独立行政法人、google画像) 

(解説) レアメタル(希少金属)の世界の主な産地は偏在しています。それらの生産比率(%)は、中国では、レアアース(希土類)97%、タングステン(W)75%、インジウム(In)58%、モリブデン(Mo)28%、マンガン(Mn)20%、ロシアでは、バナジウム(V)27%、ニッケル(Ni)17%、カナダでは、ニッケル(Ni)16%、米国ではモリブデン(Mo)29%、チリでは、リチウム(Li)44%、モリブデン(Mo)21%、オーストラリアでは、チタン(Ti)22%、マンガン(Mn)16%、コンゴ民主共和国では、コバルト(Co)45%、南アフリカでは、プラチナ(白金、Pt)77%、バナジウム(V)38%、クロム(Cr)45%、マンガン(Mn)21%など、となっています。

 ○ レアメタルの主な利用

 インジウムは液晶テレビや太陽電池パネルの透明電極、リチウムはリチウムイオン電池、レアアース(ネオジム、ジスプロシウム)はハイブリッド車のモーターに使う高性能な磁石、また、ネオジムは携帯電話のマナーモード振動に使うモーターの磁石、プラチナは自動車の排ガス浄化用触媒、燃料電池の材料などの用途があります。ガリウム(Ga)については、中国、ドイツ、日本、ロシアが主要な生産国で、発光ダイオード(LED)電球などに使われています。

Images5_4

レアメタル高機能材、電子機器、自動車に不可欠、経済産業省(旧:通商産業省)、google画像) 

(解説) ハイブリッド車などに不可欠の高性能モーターでは、希土類磁石(ネオジム・鉄・ボロン磁石)、各種二次電池ではコバルト、マンガン、ニッケルなどが使用されています。また、液晶パネルの透明電極ではITO材(インジウム錫酸化物)が使用されています。さらに、加工用工具として、タングステンなどを含む超硬工具が使用され、また、レアアース(希土類)の一種、セリウム液晶用ガラスの研磨剤ジルコニウム電子材料などに使われています。

 環境・エネルギー分野においても、自動車の排ガス浄化触媒三元触媒、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物の除去)として、プラチナ、パラジウム、ロジウムなどが使用されています。また、今後、低公害車用として導入が期待されている燃料電池の触媒としてもプラチナが使用されています。

 鉄の磁石は、フェライト磁石(黒いセラミックス磁石)、アルニコ磁石(鉄とアルミニウムなどをとかして合わせた磁石)、希土類磁石(希土類元素のネオジム、プラセオジム、ジスプロシウムなど含む磁石)の三つに大別できます。それぞれの磁石の磁力を比べてみると、希土類磁石がもっとも強い磁力を持っています。

 コンピュータ用の小型希土類磁石としては、コンピュータのハードデイスクやCDなどに磁石が使われています。環境にやさしいハイブリッド自動車、燃料電池自動車を走らせるためには、強力なパワーが必要なので、もっとも磁力の強い希土類磁石を使用したモーターが使われています。

○ リチウムイオン電池、リチウムの主な産地

 最近、リチウム電池が注目されています。その主な理由は、電気自動車、パソコン、携帯電話などの電源には、充電と放電を繰り返し行い、大電流を取り出すことの出来る、大きな出力の二次電池(リチウムイオン電池、ニッケル水素電池など)の大きな出力、すなわち大電流を必要とするからです。 

 リチウムイオン電池は、軽くて、小さく、大量のエネルギーを詰め込むことが出来ます。そのエネルギー密度は現在では、150wh/kg、300wh/lとほぼ限界値に近づいています。また、電池の起電力(電圧/V)は、単3型電池では、普通の一次電池(マンガン電池、アルカリ電池など)は1.5V、二次電池ニッケル水素電池では1.2Vですが、リチウムイオン電池3.0Vと2倍ほど電圧が高い

  リチウムイオン電池の構造は、正極は、コバルト酸化物(コバルト酸リチウム、LiCoO2)が使われ、ここにリチウムイオンが出入りし、充放電が繰り返されます。負極は、カーボン(炭素)にリチウムイオンを挿入したもの(炭素材料、LixC)が使われ、カーボンの中にはリチウムイオンが出入りして充放電が繰り返されます。電解液は、PC(プロピレンカーボネイト)などをベースにした有機溶媒にLiPF6などの有機溶媒中で解離する塩を溶解したものが使われています。

 リチウム主な生産地は、南米のチリ(45%)、アルゼンチン(14%)のほか、オーストラリア(23%)、中国(8%などです。現在、世界のリチウム資源の半分は、南米ボリビアにあり、まだ未生産で、世界の6カ国の大企業8~9社が、その資源をコスト安で大量に獲得しようとしています。ボリビアのリチウム資源は、ウユニ塩湖に540万トンほどあり、太陽光により塩湖の水が蒸発し、水位が下がり、塩水が蒸発して、リチウムの粉が沈殿しています。

 ボリビア塩湖塩水中のリチウムを、抽出、吸着、凝縮、沈殿などの分離技術により、年間2~3万トン生産するプラントのプロジェクトが、日本の住友、三菱、また、フランスのボロレなど外国資本により計画されています。が、リチウムの偏在性は、リチウムイオン電池のハイブリッドカー、電気自動車への採用の増加と人気の高まりによっては、石油以上に厳しい制約資源となる可能性があります。 

 私は、溶媒抽出による金属元素分離挙動関する基礎研究を行ったことがあります。京都大学大学院(理学研究科)の学生の頃(1964~1969)は、主に希土類元素のほか、コバルト、亜鉛など、また、金沢大学(理学部)に勤務していた頃(1969~2006)は、主に希少金属、重金属のほか、リチウムなども研究しました。

 溶媒抽出は、水中の金属イオンを有機試薬(キレート剤、イオン会合剤など)を用いて有機溶媒(ベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、ヘキサン、ケロシン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、リン酸トリブチル(TBP)、など)に抽出分離する手法で、金属鉱山での金属製錬やウラン、プルトニウムなど核燃料の分離精製の前処理に利用されています。

 私は溶媒抽出国際学会、アメリカ(1983、デンバー)、日本(1990、京都)、オーストラリア(1996、メルボルン)、スペイン(1999、バルセロナ)、南アフリカ(2002、ケープタウン)、中国(2005、北京)において研究発表したことがあります。その時必ず当地の主な金属鉱山と製錬所のツアーがあり、スペインでは露天掘りの希少金属鉱山と製錬所を見学し、そのスケールの大きさに驚いたことを覚えています。

(参考文献) 下中邦彦: 小百科事典、平凡社(1973); 日本化学会編: 化学ってそういうこと!ー夢が広がる分子の世界、化学同人(2003); 北陸中日新聞(朝刊): 偏在するレアメタル、次世代車やIT製品に必須、レアメタル官民が奔走、中国や南ア産地が偏在、商社自前採掘探る、2009年(平成21年)12月6日、より; 本浄(著者代表)、今泉、上田、澤田、田口、永長、長谷川、山田: 基礎分析化学、p.124~138、溶媒抽出法、化学同人(2010). 

(参考資料) レアメタルリンク集: http://gakusyu.ne.jp/linksyu/raremetal.htm

リチウムイオン電池(google画像検索): http://www.google.co.jp/images?hl=ja&rlz=1T4GGIH_jaJP278JP279&q=%E3%83%AA%E3%83%81%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E9%9B%BB%E6%B1%A0&um=1&ie=UTF-8&source=og&sa=N&tab=wi&biw=1004&bih=581

(追加説明) レアアース希土類、きどるい)は、ランタニド元素の総称で、原子番号57のランタンを代表として、化学的性質のよく似た71番元素のルテチウムまでの15元素の総称として普通用いられていますが、正しくはランタンを除いた14元素の総称です。化学的性質がよく似ていて,産出する場合も常に共存し、同種の化合物をつくりやすい。主要鉱石は、モナズ石、フェルグソン石、ガドリン石、サマルスキー石です。

 リチウムは、アルカリ金属元素の一つですが、化学的性質は一般にマグネシウム、カルシウムに似ています。金属としては、原子炉の制御棒、重合触媒として用いられ、各種合金の添加物、脱酸剤ともされています。岩石中には微量ですが広く分布しています。主要鉱石はリチア雲母、リチア輝石などです。                    

« 春の七草にまつわる歴史伝承、七草粥(ななくさがゆ)、秋の七草との違い、とは(2011.1.7) | トップページ | ライチョウ(雷鳥)、立山(富山)のライチョウ生息数は日本一(留鳥)、白山の雷鳥、氷河期の生き残り(遺存種)、雷鳥の名の由来、霊山の神の使い(霊鳥)、とは(2011.1.24) »

● 資源(オイル、天然ガス、ウラン、レアメタル)、エネルギー(火力、原子力)、核分裂生成物、溶媒抽出(放射性トレーサー)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 春の七草にまつわる歴史伝承、七草粥(ななくさがゆ)、秋の七草との違い、とは(2011.1.7) | トップページ | ライチョウ(雷鳥)、立山(富山)のライチョウ生息数は日本一(留鳥)、白山の雷鳥、氷河期の生き残り(遺存種)、雷鳥の名の由来、霊山の神の使い(霊鳥)、とは(2011.1.24) »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー

フォト

アクセス解析

無料ブログはココログ