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2011年2月21日 (月)

クリーニング(湿式洗濯)、汚れを落とすしくみ(界面活性剤の作用、乳化、起泡、分散)、ドライクリーニング(乾式洗濯)、とは(2011.2.21)

   クリーニング(洗濯、せんたく)とは、衣料その他の繊維製品などの汚れを、石鹸、合成洗剤などの各種洗剤を用いて落すことですが、その汚れを落とす正体は、洗剤の構成成分である界面活性剤(かいめんかっせいざい)と呼ばれる、水分子と油分子をつなぐ物質です。 水に溶けて水の表面張力を低下させる作用を界面活性といい、少量で著しい界面活性を示す物質を界面活性剤という。

 石鹸は界面活性剤の一つですが、界面活性は水と空気の界面に界面活性剤などが吸着することによって起こります。界面活性剤は、水と空気の界面だけではなく、水と油の界面、水と固体の界面にもよく吸着します。それらは石油や植物の油、動物の脂肪などを原料として作られ、何千種と多く、あらゆるところで使われています。

○ クリーニング(湿式洗濯)

 石鹸高級脂肪酸ナトリウム塩(固体)、カリウム塩(液体)など)は、木綿、麻などのアルカリに強い植物性繊維に向き、洗浄力が大きく、特に肌着(はだぎ)などには好適ですが、硬水ではカルシウム塩(石鹸カス!)ができるので、使えません。

 石鹸の起源については、紀元前3000年、シュメール人(イラク)が木灰と油を混ぜて加熱し医薬用の石鹸を作ったことが粘土板にくさび形文字で記されているという。また、紀元前800年、古代ローマ時代、サポーの丘の神殿で、羊を焼いて供える風習(生贄、いけにえ)があり、その時したたり落ちる羊の脂肪と木灰が混ざった土の固まりができ、これが汚れを落とす不思議な土として珍重されたという。日本へは室町時代の末期、ポルトガル人によって鉄砲と一緒に種子島に伝えられたという。石鹸の歴史(石鹸百科、生活と科学社:http://www.live-science.com/honkan/soap/soaphistory01.html; Hearth: http://www.heart-and-earth.com/soap_contents_history.html.)

 合成洗剤(直鎖型のアルキルベンゼンスルホン酸塩など)は、羊毛、絹、化学繊維などに広く用いられ、硬水でも利用できる利点があります。木綿や麻では、アルカリ剤の洗濯ソーダ(炭酸ソーダ)、石鹸と併用されます。

 世界初の合成洗剤は、1917年(大正6年)、ドイツで石炭から合成されたアルキルナフタレンスルホン酸塩と言われています。(石鹸百科より)

 洗濯石鹸(せんたくせっけん)は、化粧石鹸以外の洗浄用の石鹸で、乳化(にゅうか)、起泡(きほう)、分散(ぶんさん)などの作用を高めるため、石鹸素地にリン酸ナトリウム、炭酸アルカリ、ケイ酸アルカリ、ベントナイト(粘土)などを配合します。そして、冷水によく溶け、洗浄力が大きく、しかも繊維の生地を痛めないことが必要です。それには、粉石鹸、棒状石鹸、ビーズ石鹸、フレーク(小片状)石鹸などがあります。

 化粧石鹸(けしょうせっけん)は、顔や手足の洗浄に用いられる石鹸です。特に精選した原料油を用い、石鹸素地に着色剤、香料などを加え、機械練りして成形します。気泡を入れた浮き石鹸、アルコールや砂糖などを配合した透明石鹸、軟質で糊状を呈するカリ石鹸(軟石鹸ともいう)、殺菌剤を配合した薬剤石鹸などもあります。

○ クリーニングの原理

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汚れを落とすしくみ(洗剤の界面活性剤による洗濯物(繊維)の汚れの除去機構、日本化学会編: 化学ってそういうこと! p.56~57、汚れをおとすしくみって? 化学同人(2003)より) 

(解説) 汚れを落とす正体は、洗剤の中に入っている界面活性剤(かいめんかっせいざい、表面活性剤とも)です。洗剤を溶かすと水の表面張力が小さくなり、布の繊維の間にしみ込みやすくなります。界面活性剤の分子の大きさは約1mmの50万分の1、洗剤の構成成分(一つの分子の中)に水になじむ部分、親水基と油になじむ部分、親油基(疎水基ともをもっています。すなわち、界面活性剤は、その分子の一端に親油基(CH3CH2ーー、脂肪族炭化水素基など、炭素数で約8以上)を、他端に親水基(カルボキシル基、COO-、スルホン酸基、SO3ーなど)をもつため、油脂性の汚れ(タンパク質、脂肪などからなる汗、食べ物のシミなど)を囲んでこれを小さな粒子(コロイド粒子の乳濁液、ミセルとなる!)として繊維表面から分離させ(乳化作用、分散作用とも)、この粒子は表面張力の低下によって多数生じた泡(あわ)に吸着されて運び去られます。

 界面活性剤は、乳化作用、分散作用などの特徴を生かして、住まいや食器の汚れを落とす家庭用洗剤、シャンプーやリンス、はみがき、乳液(にゅうえき)や口紅(くちべに)などの化粧品、ケーキ、チョコレートなどの食品、自動車の塗料、新聞紙や雑誌の再生紙へのリサイクルにおいて、紙からインクを取り除く脱墨材など、さまざまな分野に使われています。また、ダスキンのダストコントロールモップは、モップ布(100%ナイロン)に薬液(パラフィン系鉱油剤、非イオン系界面活性剤、陰性イオン系界面活性剤など)を含ませたもので、棚、家具、タンスの表面などのゴミを付着除去します。

 シャボン玉は、界面活性剤の作用によるものです。それは、水が丸くなろうとする表面張力を下げて、広がりやすくする力、さらに、空気と水の界面に吸着しやすい性質によって、大きな水の膜ができ、泡(あわ)やシャボン玉となります。 

○ ドライクリーニング(乾式洗濯)

 揮発性溶剤を使って衣料、その他の繊維製品などの汚れを落とす洗濯をドライクリーニング(乾式洗濯)という。溶剤として、ほとんどは石油系溶剤(工業ガソリン、沸点150~210℃、主成分は脂肪族炭化水素のアルカンなど)ですが、トリクロルエチレンパークロロエチレンとも、発がん性あり!)も使用されています。

 ドライクリーニングは、1855年(安政2年)、フランスの染色工場主のJ.P.ジョリーが、彼のお手伝いさんが石油ランプをテーブルクロス上にひっくり返した時、灯油によりテーブルクロスがきれいになっているのを見て、偶然に発見したと言われています。日本では、1907年(明治40年)、白洋舎の五十嵐健治(1877~1972)がはじめてドライクリーニングを行ったとされています。

 ドライクリーニングは、水で洗うと形態や材質が損なわれる衣類、特に油脂性の汚れが付着した羊毛製品、毛皮製品などに適しますが、水溶性の汚れやシミは除去できないのが欠点です。最近では、洗浄剤を溶解した溶剤を併用し、汚れの除去を増大させています。

(参考文献) 下中邦彦編: 小百科事典、平凡社(1973); 大木、大沢、田中、千原(編): 化学事典、東京化学同人(1994); 伊佐、内田、関崎、本浄、増田、宮城(著): 化学の目でみる物質の世界、p.84~85、界面活性剤、p.162、石鹸、内田老鶴圃(2003); 日本化学会編: 化学ってそういうこと! 夢が広がる分子の世界、p.56~57、化学同人(2003).

(参考資料) クリーニングの基礎知識(全国クリーニング生活衛生同業組合、全ク連、東京):http://www.zenkuren.or.jp/index.php?itemid=10

洗濯・染み抜き・クリーニングの大辞典(お洗濯の総合サイト): http://sentaku-shiminuki.com/index.htm

ドライクリーニングの歴史(TLC Home How Dry Cleaning Works) : http://tlc.howstuffworks.com/home/dry-cleaning1.htm

(追加説明) 1980年(昭和55年)頃、米誌「コンシューマーズリポート」が、ニューオルリーンズのミシシッピ川流域の住民の間に多発する胃ガンの原因は、水中の有機塩素化合物トリハロメタンクロロホルム)ではないかと報告して以来、クロロホルムが発ガン性物質として世界的に注目されました。この物質は水道水の原水、河川水を塩素消毒する時に生成されますが、水道水を一度煮沸すると除去することができます。  

 その後、日本各地のテクノパーク(熊本、兵庫、愛知、神奈川ほか)、半導体工場ドライクリ-ニング店の洗浄剤、有機塩素系溶剤の廃液による地下水の汚染、特にドライクリーニングに使われていた有機塩素化合物の溶剤、トリクロルエチレンなども発ガン性の疑いがあることが分かり、その使用と廃液の処理などの規制が強化されました。塩素系の有機溶剤は水より重いので、地下水の凹みに溜まり除去するのが問題となりました。

 また、私の研究分野、「無機化合物、特に金属の溶媒抽出」の研究において、有機塩素系溶媒(四塩化炭素、クロロホルム、クロルベンゼンなど)の使用の規制がありました。.

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