« クリーニング(湿式洗濯)、汚れを落とすしくみ(界面活性剤の作用、乳化、起泡、分散)、ドライクリーニング(乾式洗濯)、とは(2011.2.21) | トップページ | 小堀遠州(大名、茶人、造園家)にまつわる歴史秘話、加賀3代藩主前田利常にあてた書状の発見、長生殿(日本3名菓、加賀)の命名と3字の筆跡、頼久寺(高梁市、岡山)の庭園、砂糖の道、とは(2011.3.14) »

2011年3月 7日 (月)

折紙(おりがみ)にまつわる歴史伝承、伝承折紙(鶴、兜、奴さん)、創作折紙(造形美の創造)、折紙の科学(オリガミ数学)、とは(2011.3.7)

   折紙(おりがみ、遊技)は、折紙細工(おりがみざいく)の略で、紙を折りたたんでいろいろな形を作る手芸です。紙を折り、儀式などに用いることは、古代から行われいますが、遊技的折紙の出現は、平安時代とされています。色紙なども用い、多くの形が工夫されました。昔からよく知られている、鶴(つる)、兜(かぶと)、奴さん(やっこさん)などは伝承折紙(でんしょうおりがみ)と呼ばれています。

 明治時代(1868~1912)から大正時代(1912~1926)の頃、折紙が小学校の教材に取り入れられ、また、旧来の伝承折紙(でんしょうおりがみ)の形にとらわれず、紙の面と線の屈曲によって造形美を創造する創作折紙(そうさくおりがみ)も作られるようになりました。

Images 

折り紙で作られたウサギやツル、アジサイなど(北陸折紙コンベンション、加茂町、加賀市、石川県、2011年(平成23年)1月17日(月)、北陸中日新聞、朝刊より) 

(解説) 2011年(平成23年)1月15日(土)と16日(日)の両日、全国の折り紙愛好家が集う第5回北陸折紙コンベンション(石川テレビ放送後援)が、加賀市(石川県)で開かれました。同市加茂町の日本折紙博物館で折り紙教室があり、日本折紙協会会員約120人が花々やカエルなど、創作折紙(そうさくおりがみ)を楽しみました。 北川路子館長は、「折り紙は一枚の紙から何でも作ることができる。自分で新しい物を作ることができるのも醍醐味(だいごみ)」と話していました。 日本折紙博物館(加茂町、加賀市、石川県): http://www.origami-hakubutsukan.ne.jp/

 私は、小学生のとき、いつの頃から、鶴(つる)、兜(かぶと)、奴さん(やっこさん)、箱(はこ)、紙鉄砲(かみでっぽう)などの伝承折紙(でんしょうおりがみ)を覚えました。それらを思い出して作りながら、その歴史についても調べて見ました。

 伝承折紙(でんしょうおりがみ)

Images_2

伝承折紙(でんしょうおりがみ、左より (つる)、(かぶと)、(はこ)、奴さん(やっこさん)、など)

(解説) 平安時代(794~1192)末期、藤原清輔(ふじわらのきよすけ、1104~1177)の歌集、「清輔朝臣集」の中に「青きすじある紙にてかへるのかたを作りて書きつけてやりける」という詞(ことば)があり、すでに(かえる)が折られていたことが分かります。主に宮廷や公家たちの間に、折紙が遊びとして流行していたという。

 室町時代(1338~1573)、紙に切り込みを入れずに、折るだけで形をつくる芸術意識が芽生え、江戸時代(1603~1868)、和紙の手漉(てす)き技術が発達し、さらに造形美を追求、千羽鶴に代表される、折紙芸術へと育っていったという。明治時代(1868~1912)、義務教育制度の普及に伴い、折紙(おりがみ)が小学校や幼稚園の手工教育に取り入れられ、また和紙に代わって洋紙の製造が盛んとなり、安価な色紙が売り出され、一般庶民の中に急速に広まりました。

 また、生活様式の変化に従い、鶴、兜、奴さんなど、遊技用の伝承折紙にとらわれず、オルガン、ポスト、郵便配達夫、教会、灯台、ヨット、エプロンなど、新しい題材の創作折紙が作られ、一般に普及しました。

 大正時代(1912~1926)初期、センカ紙(仙貨紙、楮製の和紙)で作った15cm四方の色紙が全国の文具店で市販され、折り方の種類も増え、折り紙が一般に広く普及しました。

○ 創作折紙(そうさくおりがみ)

 昭和時代(1926~1989)初期、内山光弘(1878~1967、京都)が、「光弘式折り紙」を考え出し、数十種類の基本型から創作への技術を考案しました。そして、古来の伝承折紙の模倣から、現代の新しい素材を、新しい造形感覚で作る創作折紙へと発展しました。現在、日本では創作折紙を研究、愛好する人々も多く、数万の千変万化の折紙細工の作品が創作され紹介されています。 光弘式折り紙(東玄喜、google画像): http://ori23.exblog.jp/13717954/

 また、吉澤章(1911~2005、栃木)は、創作折紙の第一人者で、日本の折紙を世界に紹介することに多大な貢献をされました。吉澤章の折紙作品(おりがみ広場): http://origamist.sakura.ne.jp/menu/yoshizawa/yoshizawa.html

○ 折紙の科学(オリガミ数学)

Images1_4

折りたたんだ紙を組み合わせた「オリガミ」の作品を手にするエリック photo.Yu Miyaji (google画像)

(解説) 一枚の四角い紙を何回も折りたたみ、はさみを一回だけ入れる。紙を広げると、様々な形や模様が生まれます。では、この折紙でどれだけの種類の形が作れるのだろうか。そんな純粋な疑問に、真っ正面から取り組んだ数学者がいます。エリック・デイメイン(28才)、2001年(平成13年)、米マサチューセッツ工科大(MIT)に20才というMIT史上最年少の若さで招かれた天才数学者です。

 エリックは、まず図形の中に円を描く計算幾何学の手法を使って折り線を導き、さらにどの順番で折り線を入れていけばすべての図形を一つの線上に乗せられるかのアルコリズム(算法)を編み出しました。これによって、「紙を折りたたみ、一回切るだけで、どんな多角形でも無限に作れる」、ということを証明しました。

 エリックは、「オリガミ数学」と呼ばれる分野で斬新なアイデアを次々と打ち出し、その研究は今や、車のエアバックの折りたたみ方や、スペースシャトルの搭載する望遠鏡の収納などにも応用されています。 朝日新聞グローブ、第33号(エリック、数学という力): http://globe.asahi.com/feature/100201/01_1.html

 私は、折紙の科学(オリガミ数学)による造形の真理(原理)の証明を知るにつけ、その奥深さに驚嘆しました。

(参考文献) 下中邦彦編: 小百科事典、平凡社(1973); 新村出編: 広辞苑、岩波書店(1991); 「朝日新聞グローブ」第33号: 数学という力(オリガミ数学)、折って、1回はさみを入れるだけでーーー、どんな形でも無限に作れる。エリックは証明した、2010年(平成22年)2月1日、朝刊より.

(参考資料) 日本折紙協会(ホームページ、東京): http://www.origami-noa.jp/

日本折紙協会(google画像、東京): http://www.google.co.jp/images?hl=ja&rlz=1T4GGIH_jaJP278JP279&q=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%8A%98%E7%B4%99%E5%8D%94%E4%BC%9A&um=1&ie=UTF-8&source=og&sa=N&tab=wi&biw=1004&bih=567

(追加説明) ○ 折紙(おりがみ、室町時代は清音、おりかみ)とは、広辞苑によれば、①折った紙、特に、奉書、鳥の子、檀紙などを横に二つ折ったもので、消息、進物の目録、鑑定書などに用いる。また、「たとうがみ(畳紙)」のこと。②書画、刀剣、器物、技量などの鑑定書。転じて、一般に保障すること。極書(きわめがき)。③色紙(いろがみ)で、鶴、風船などを折る子供の遊び。折紙細工(おりがみざいく)。 また、それに用いる紙、などの説明がなされています。

○ 折紙と化学、 私は、1960年(昭和35年)頃、大阪大学の鎚田龍太郎教授が、折紙を使って分子模型(金属錯体?)を作り、化学雑誌(化学同人)に紹介していたのを覚えています。 有機化学美術館・分館(佐藤健太郎、グルコース分子): http://blog.livedoor.jp/route408/archives/51080822.html

○ 折紙と図形(白銀比)、真四角(正方形)を二つ折りした長方形の2辺の比率は、白銀比(1:√2)と呼ばれ、畳(たたみ)の縦と横の比、またA判用紙(A3、A4,A5)の縦と横の長さの比となっています。

« クリーニング(湿式洗濯)、汚れを落とすしくみ(界面活性剤の作用、乳化、起泡、分散)、ドライクリーニング(乾式洗濯)、とは(2011.2.21) | トップページ | 小堀遠州(大名、茶人、造園家)にまつわる歴史秘話、加賀3代藩主前田利常にあてた書状の発見、長生殿(日本3名菓、加賀)の命名と3字の筆跡、頼久寺(高梁市、岡山)の庭園、砂糖の道、とは(2011.3.14) »

● 民俗(衣食住、信仰、語源、遺跡、芸能)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1802629/48374242

この記事へのトラックバック一覧です: 折紙(おりがみ)にまつわる歴史伝承、伝承折紙(鶴、兜、奴さん)、創作折紙(造形美の創造)、折紙の科学(オリガミ数学)、とは(2011.3.7):

« クリーニング(湿式洗濯)、汚れを落とすしくみ(界面活性剤の作用、乳化、起泡、分散)、ドライクリーニング(乾式洗濯)、とは(2011.2.21) | トップページ | 小堀遠州(大名、茶人、造園家)にまつわる歴史秘話、加賀3代藩主前田利常にあてた書状の発見、長生殿(日本3名菓、加賀)の命名と3字の筆跡、頼久寺(高梁市、岡山)の庭園、砂糖の道、とは(2011.3.14) »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

カテゴリー

フォト

アクセス解析

無料ブログはココログ