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2011年6月25日 (土)

家畜法定伝染病(ウイルス)、口蹄疫(牛、豚)、鳥インフルエンザ(鶏)、家畜の殺処分となめとこ山の熊(宮沢賢治)、牛の生肉に付着の病原性大腸菌O111による集団食中毒、とは(2011.6.25)

   家畜法定伝染病(かちくほうていでんせんびょう)は、家畜伝染病予防法に規定されている、口蹄疫(こうていえき、牛、豚)、鳥インフルエンザ(鶏)など26種の伝染病です。その発生の際は、畜主および診断した獣医師は、直ちに市町村長に報告し、家畜防疫員の指示に従わねばなりません。

 家畜伝染病予防法(かちくでんせんびょうよぼうほう、農林省)は、家畜伝染病の発生の予防および蔓延(まんえん)防止により、畜産振興を図るため1951年(昭和26年)に制定された法律です。疾病による家畜死亡の届出義務、予防のための検査・消毒、患畜および疑似患畜の届出・隔離義務、輸出入検疫などを規定しています。口蹄疫鳥インフルエンザの発生には、消毒薬として消石灰を撒布して、ウイルスの蔓延(まんえん)を防ぎます。家畜伝染病予防法(農林水産省): http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26HO166.html.

○ 口蹄疫(こうていえき、牛、豚)と鳥インフルエンザ(鶏)

 家畜法定伝染病(かちくほうていでんせんびょう、ウイルス)については、昨年、2010年(平成22年)、3~7月、宮崎県で口蹄疫(こうていえき)にかかった約29万頭の牛や豚が「殺処分」されたという。 この病気は、牛をはじめ豚、羊、ヤぎなどを冒(おか)す伝染病ですが、動物のウイルス病として、1898年(明治31年)、最初に発見されたものです。口腔粘膜、蹄冠部などに水疱(すいほう)を生じる熱性疾患です。乳牛では乳量が激減します。伝染力は極めて強く、致死率は低い(約1%)のですが、発見されれば、殺処分と定められています。口蹄疫(農林水産省): http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/index.htmll

 また、昨年11月、島根県安来市、今年、2011年(平成23年)1月、宮崎県の宮崎市と新富町、鹿児島県出水(いずみ)市、愛知県豊橋市の五ヶ所の養鶏場で鳥インフルエンザにかかった鶏が見つかり、顔が赤く腫(は)れた鶏がどんどん死んでいきました。数羽でも高病原性が判明すると、その養鶏場では、すべてが「殺処分」されますが、その評価額の8割は国が保障してくれるという。

 その後、2月28日には、昨年11月以降、和歌山県紀の川市に次いで、全国で21例目が、奈良県五条市で見つかり、県や市の職員約160人が、養鶏場の約10万羽の殺処分を行うことになりました。愛知県豊橋市では、2年前にウズラが感染し160万羽を「殺処分」しました。そのウイルス感染ルートとして、渡り鳥(カモ、ナベヅルなど)のほか、野鳥(オオヨシガモ、オシドリ、カイツブリなど)、ネズミ、ハエなどが考えられています。鳥インフルエンザ(厚生労働省): http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/index.html

○ 口蹄疫の牛や豚の殺処分(農林水産省)、なめとこやまの熊(宮沢賢治と法華経、日蓮宗の信仰)

 宗教学者、山折哲雄(1931~ )によれば、口蹄疫(こうていえき)による不意打ちの感染で、30万頭近くのが殺されることになり、「殺処分」というこの見慣れない言葉にふれたとき、寺の住職だった父親から「殺生」という言葉をきいて脅(おび)えた子供のころを思い出したという。ーーー

 こんどの事件に出会って私がもっとも衝撃を受けた証言は、被害のどん底につき落とされた農家の方のつぎのような嘆きの言葉だった。「命絶って命をつなぐのが、おれの仕事。出荷して殺されるのは何とも思わないが、このように殺されるのは見るに堪えない」。その激しい言葉が、まさに私自身の心の騒ぎと、居心地の悪さ、遠い記憶にさかのぼる違和感を照らし出したのだった。ーーー

 ふと思う。その居心地の悪さと違和感の根源を、繊細な神経をはたらかせて描こうとしたのが宮沢賢治(1896~1933、岩手県生まれ、法華経、日蓮宗を信仰)だったのではないかと。たとえば、宮沢賢治作、なめとこ山の熊の作品では、毎日のように山に入る熊取の名人が瀕死(ひんし)の熊に言う。 「熊。何も好きこのんでお前を殺すのではない。そうしなければ生きていけないからだ。やい。この次には熊なんぞ生まれなよ」 猟師はやがて熊に襲われて倒れる。命尽きるとき、その熊の前で「熊ども、ゆるせよ」と心の中でつぶやく。まるで自分のからだを差し出すかのようにーーー。

 賢治はいのちを食べることに神経を痛めつづけ、身もだえするように生きてきた人間だった。もしかすると、自分と熊(動物)とのあいだに食うか食われるかの平等の関係を幻想しようとしていたのかもしれない。食うものは食われる、という食物連鎖の原理だ。狩猟民的感覚といえばいえるようなメルヘン幻想である。

 だがやがて牧畜、農業革命がおこって、そのような幻想は打ち砕かれる。「人間は動物を殺して食べることを許されるが、動物が人間を襲って食べることは許されない」という「人間中心の論理」を、われわれ社会がつくったからだった。この人類史的ともいうべき「負い目の感覚」が、「殺処分」という無機質の言葉の背後から立ちのぼり、「われわれをふたたび苦しめはじめている」、のではないだろうか。(山折哲雄(宗教学者):いのちと食と賢治と、2010年(平成22年)6月8日(火)、朝日新聞(朝刊)より)

 哲学者、梅原猛(1925~ )によれば、宮沢賢治の数ある童話の中でも、とりわけ名作の一つである「なめとこ山の熊」は、熊を殺して生計を立てている淵沢小十郎(ふちざわこじゅうろう)という猟師が、その罪を感じて熊にわが身を捧げるという話であるが、小十郎は「法華経」にある、自分の身を殺して他人のために捧げるという薬王菩薩(やくおうぼさつ)であるといってよかろう。また、賢治の多くの詩の中で最もポピュラーな「雨ニモマケズ」という詩は、同じように「法華経」にある、人から馬鹿にされながらも人を愛し、人のために尽くすという常不経菩薩(じょうふきょうぼさつ)の生き方を自己の生活の理想として歌ったものであろう。日蓮(にちれん、1222~1282)以外に彼ほど「法華経」の精神をよく理解し、「法華経」に出てくる菩薩の心を自分の心として自分の人生を生き、自分の歌を歌った仏教者は存在しないと私は思う、と述べています。

 また、宮沢賢治は、はじめ近代浄土真宗の熱烈な信者であったが、法華経や日蓮の著書を読み法華経の信仰に帰したという。そして、日蓮の思想にもとずく新しい宗教団体である田中智学(たなかちがく、1861~1939)の主催する国柱会(こくちゅうかい)に入り、上京して、国中会の本部の下足番(げそくばん)をしていたという。そして、智学のある弟子が何気なく賢治に語った言葉から暗示を受け、文学によって折伏しようとして、おびただしい童話を書き、自らを救い、そして多くの人を正しい教えに導いたのであろう、と述べています。(梅原猛(哲学者):日本仏教をゆく、朝日新聞出版(2009)より) 

○ 宮沢賢治(1896~1933)は、熱心な法華経信者で、街頭で布教、また農村改造の熱意に燃えて農耕指導に従事しました。昼は塾を開き、夜は作詩の生活を送りました。強い情熱と空想力、素朴で健康な作風で知られています。死後、草野心平(1903~1988)、高村光太郎(1883~1956)らによって紹介され、広く知られるようになりました。「風の又三郎」「雨ニモマケズ」「春と修羅」(樋口清之監修:生活歳時記、p.545、宮沢賢治忌、昭和8年9月21日、三宝出版(1994)より)

○ 牛の生肉料理ユッケ」に付いていた病原性大腸菌O111による集団食中毒事件

 2011年(平成23年)4月、富山、福井、神奈川の3県で、焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」での、牛生肉を使った韓国料理「ユッケ」による病原性大腸菌O(オー)111に感染した4人が死亡し、多数の患者が出るという集団食中毒事件が起こりました。

牛の生肉料理ユッケ」に付いていた病原性(腸管出血性)大腸菌(ベロ毒素により出血性大腸炎を起こす)は、幼児や高齢者だけでなく、抵抗力があるはずの10~40代をも重症化させ、複数の命を奪いました。 1ヶ月が経過した5月8日では、この事件の被害者は、死者4人、重症者24人、中毒患者数102人となる大事件となりました。  

 私は、日常、何気なく、口にしている、卵、カシワ(鶏肉)、豚肉、牛肉など、畜産の現況を知るにつけ、何とも言えない気持になりました。いつの頃からか、食事の時の「いただきます」は、人が生きるため、生き物(動物、植物、微生物など)の命をいただく(命の移し替え!)、感謝の言葉であることを思い出しました。

(参考文献) 下中邦彦編: 小百科事典、平凡社(1973); 梅原猛(哲学者):日本仏教をゆく、朝日新聞出版(2009); 朝日新聞: 山折哲雄(宗教学者)、いのちと食と賢治と、2010年(平成22年)6月8日(火)朝刊より; 北陸中日新聞: 鳥インフル疑い なぜ豊橋で 気候温暖 渡り鳥適地 野鳥死骸、ネズミが媒介? 感染確定で殺処分、2011年(平成23年)1月27日(木)朝刊より; 朝日新聞: 鳥インフル、「敵」封じ込めに苦闘、通報遅れ、防鳥網に穴、野鳥、高知・滋賀でも、また、ニュースがわからん! 鳥インフル なぜみんな殺すの? 強い感染力 養鶏場ごとに封じ込める、2011年(平成23年)1月27日(木)朝刊より.

(参考資料) 口蹄疫(こうていえき、ウイキペデイア):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A3%E8%B9%84%E7%96%AB. 

鳥インフルエンザ(とりいんふるえんざ、ウイキペデイア): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6

口蹄疫(こうていえき、google画像): http://www.google.co.jp/images?hl=ja&rlz=1T4GGIH_jaJP278JP279&q=%E5%8F%A3%E8%B9%84%E7%96%AB&um=1&ie=UTF-8&source=og&sa=N&tab=wi&biw=1004&bih=606

鳥インフルエンザ(とりいんふるえんざ、google画像): http://www.google.co.jp/images?hl=ja&rlz=1T4GGIH_jaJP278JP279&q=%E9%B3%A5%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6&um=1&ie=UTF-8&source=og&sa=N&tab=wi&biw=1004&bih=606

(追加説明) ○ 家畜(かちく)は、野生の動物から、人間がその生活に役立つように品種改良し、飼育し、繁殖させているものです。それには、哺乳類、鳥類、魚類(コイなど)、昆虫類(カイコ、ミツバチなど)がありますが、類は特に家禽(かきん、鶏、アヒル、シチメンチョウ、ハトなど)と呼ばれ、実用種(肉用、卵用、特殊なものに伝書バトなど)、愛がん用(オナガドリなど)、競技用(シャモなど)があります。そして、狭義の家畜哺乳類(ほにゅうるい、牛、豚、馬、羊、ヤギ、犬など)をさします。その用途によって肉用、役用、毛用などに分けられています。

○ 宮沢賢治の家は、花巻(岩手)で金貸し業を営み、熱烈な浄土真宗の信者でした。近代浄土真宗を信じ、親鸞没後の異義を嘆き批判した唯円(ゆいえん)の書、歎異抄(たんにしょう)を重視しました。そして、1901年(明治34年)に雑誌、精神界を編集・発刊し、歎異抄の近代的普及に貢献した、暁烏敏(あけがらすはや、1877~1954,真宗大谷派僧侶、石川)を招いて講演会を開き、賢治も講話に耳を傾けています。

 賢治もまた近代浄土真宗の熱烈な信者でしたが、のち浄土真宗を捨てて、日蓮宗の信者になりました。その理由については、賢治は深くは語らないが、近代浄土真宗の信仰には、菩薩行(ぼさつぎょう)が欠如していると思ったからではなかろうか。

 菩薩行(ぼさつぎょう)とは、菩薩大乗仏教の修行者)としての(ぎょう)のことです。大乗仏教(だいじょうぶっきょう)については、出家して修行を積んだ者しか救われないとする上座部(小乗)仏教に対して、釈迦の入滅語400~500年後に、民衆全てが救われるとした大乗仏教が誕生しました。 大乗とは、だれでも乗れる大きな乗り物といった意味があります。

梅原猛(哲学者):日本仏教をゆく、朝日新聞出版(2009)より) 

○ 法華経(ほけきょう、ほっけきょうとも)は、妙方蓮華経、1世紀前後に西北インドで成立した初期大乗教典でサンスクリット語の原題は、白蓮のように正しい教えで、無量義経観音賢経と合わせて法華三部経と呼ぶ。中国、日本を通じて最も讃仰された教典で、天台宗、日蓮宗のように本経に基づいて教義を形成する宗派もありました。(岩波、日本史辞典より) 法華経の話(宗教、人生): http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/6623/hokekyou.html

○ 浄土真宗(じょうどしんしゅう)は、親鸞(しんらん、1173~1262)が法然の教えをさらに純化し、阿弥陀仏の他力本願を信ずることによってのみ往生成仏できると説く。

 日蓮宗(にちれんしゅう)は、南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)のお題目を唱え、浄土教のように来世ではなく、現世ですべての衆生(動物、植物、山、川、草、木などすべてが仏性をもっている!)は仏になれる、そして、個人も国家も救われなければならないと日蓮(にちれん、1222~1282)は説く。

 天台宗(てんだいしゅう)は、日本で興った最初の宗派で、日本仏教の母体となり、比叡山からは多くの名僧を生んだ。法華経を根本教典とし、すべての衆生(動物、植物、山、川、草、木などすべてが仏性をもっている!)は仏になれると最澄(さいちょう、767~822)が説く。

 真言宗(しんごんしゅう)は、永遠の宇宙仏である大日如来を真実の仏とし、大日経金剛頂教などを教典に、大日如来と一体化して修行を行えば、即身成仏(そくしんじょうぶつ、この身このまま仏になる)できると空海(くうかい、774~835)が説く。(中日サンデー版、日本の仏教、北陸中日新聞、2004年(平成16年)10月31日(日)、朝刊より)

○ つながる”いのち”  生物は、すべて他のいのちに依存しているそんな当たり前の事実を、屠殺場(とさつじょう)は静かに語りかける。ーーー「今の社会では、いのちが見えにくい。昔はどの家でも鶏(にわとり)を飼っていて、鶏をしめるのは当たり前でした。いのちのある鶏と、食べ物としての鶏、両方が見えた時代だった」

 「人間だけじゃないかな、自分の手で殺さなくなったのは、他の生き物は、死にもの狂いで餌(えさ)を得る」 いのちが見えづらくなり、真摯(しんし)にいのちと向き合う姿勢(しせい)が薄れていったとき、わたしたちは謙虚(けんきょ)さや自然に対する畏敬(いけい)の念を失うのかも知れない。(本橋カメラマン、大阪松原市の屠殺場、週刊朝日、2011年(平成23年)6月24日、より)

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