« マリモ(毬藻、緑藻類)の遺伝子(DNA)解析、世界のマリモは阿寒湖(釧路、北海道)を起源とする、とは(2012.2.1) | トップページ | ジベレリン(植物ホルモン)、イネ馬鹿苗病菌の代謝物、種なしブドウの生産(ジベレリン処理)、コムギやイネの改良による増産(緑の革命、背丈が低く倒れにくい品種)、とは(2012.2.13) »

2012年2月 6日 (月)

ウナギ(鰻)の産卵場(太平洋・マリアナ諸島西方沖)、養殖(養鰻とも、四大生産地は鹿児島、愛知、宮崎、静岡)、蒲焼(かばやき、関東風と関西風の違い)、とは(2012.2.6)

   ウナギ(鰻)については、不明なことが多く、産卵場日本産では、太平洋沖合と言われていましたが、よくわかっていませんでした。一方、欧州産アメリカ産では、デンマークの生物学者、J・シュミット(1877~1933)の研究によって、バーミューダー諸島南東のサルガッソー海、水深300~500mのところである、と判明していました。

 2009年(平成21年)5月ニホンウナギが海で産んだ受精卵(直径1.6mm、31個、DNA鑑定で確認)が、日本から約2000km南にある太平洋・マリアナ諸島西方沖、水深200mで、調査船(白鳳丸)が大型のプランクトンネットを引いて、東京大学大気海洋研究所の塚本勝巳(1948~ )教授・水産総合研究センターらの研究チームによって、世界で初めて発見されました。孵化(ふか)するまでの間、海中に卵の形で漂うのはわずか1日半という。 ウナギDNA鑑定(静岡理工科大学、ホームページ):http://www.sist.ac.jp/~tuneyosi/unagi.htm

 その後、2011年(平成23年)6月29日、東京大学と九州大学などの研究チームが、船で大型プランクトンネットを引いてウナギの卵を探し、ニホンウナギの受精卵150個をマリアナ諸島沖で採取することに成功しました。卵がとれた深さや日時から逆算すると、産卵は日没~夜11時に、水深150~200mで行われると推定できるという。

 ウナギの養殖養鰻、ようまん、とも)には、現在年間1億匹近い天然の稚魚を使っています。が、天然ウナギの資源は激減していますので、ウナギの卵生態の解明は、飼育下で卵から育てる「完全養殖」の実用化に役立つと期待されています。そこで、改めてニホンウナギについて調べてみました。

マリアナ諸島沖で採集されたニホンウナギの卵(直径は1.6mm、2011年6月、東京大学大気海洋研究所提供、google画像) 

Fig111

日本ウナギの産卵場と分布、および西部亜熱帯循環(東京大学大気海洋研究所、東京、google画像) 塩分フロントがランドマーク、ウナギの産卵回遊(東京大学大気海洋研究所、東京):http://www.aori.u-tokyo.ac.jp/research/topics/2007/2007_ORI01.html

(解説) ウナギ(鰻)は、ウナギ目ウナギ科の魚で、亜種も含め19種あります。ヨーロッパやアメリカでもとれますが、日本ほど珍重する国はありません。円筒状で全長60cm、小鱗は皮膚に埋まっています。体色は環境によって異なりますがふつう暗褐色で腹面は銀白色です。 

 ニホンウナギは日本、台湾、フィリピン、中国、韓国など東アジアに広く分布する回遊魚です。日本では、本州中部以南の太平洋岸などに多い。孵化(ふか)後、北赤道海流に乗って西側に流れ、さらに北に向かう黒潮に乗り換えて日本沿岸に達することが判明しています。

 ヨーロッパ・アメリカのウナギは大西洋の中央部の深海、また、欧州全域の河川に幅広く分布しています。ヨーロッパウナギ(ウィキペディア):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE

想定されているニホンウナギの産卵生態

想定されている日本ウナギの産卵生態(水産庁、漁政部企画課、東京、google画像): http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h20_h/trend/1/t1_t_04.html

(解説) ウナギの受精卵が孵化(ふか)したばかりのウナギの子ども「仔魚(しぎょ)」は、水深約200mからゆっくり浮上し、移動の間に、母親由来の卵黄を栄養源にする「プレレプトセファルス」から、無色透明の柳の葉のような形の「レプトケファルス」に変態し、日本沿岸にたどり着くころには親と同形の「シラスウナギ」になり、2~5月群をなして河川をさかのぼります。河川や湖で5~10年ほど淡水生活をして成熟し、産卵のために再度、海に向かうと考えられています。

○ ウナギの養殖(ようしょく、養鰻、ようまん、とも)

 現在、出回っているウナギは、ほとんどが養殖ウナギで、蒲焼(かばやき)として賞味されています。 ウナギの養殖養鰻(ようまん)ともいい、コイなどと異なり、採卵して稚魚を育てることができないので、川をのぼってくる稚魚(シラスウナギ、ハリウナギ)を採集して用います。

 採集した稚魚はまず元池に放養してイトミミズ、魚介のひき肉、魚粉を主原料とした配合飼料などで餌付けをし、のち分養池に移し、養ぴり(3~20g)、養中(ようちゅう、20~60g)と呼ばれる大きさになるまで育てます。これを養太(ようふと)養成場へ送り、、止水池に放養して、イワシ、ホッケ、サンマ、コウナゴなどを餌として与えます。投餌期間は約8ヶ月で、100~120gに成長したものから順次販売します。現在、ウナギの養殖は、四大生産地の鹿児島、愛知、宮崎、静岡のほか、熊本、高知、徳島、三重などの地域が、全国生産量の90%以上を占めています。また、外国の主な生産国は、中国、台湾などで70%以上輸入、日本国内の生産量は約28%となっています。

鰻(ウナギ)養殖の歴史(日本養鰻漁業協同組合連合会): http://www.wbs.ne.jp/bt/nichimanren/

ウナギ養殖生産量(都道府県別、農林水産統計): http://www.wbs.ne.jp/bt/nichimanren/toukeikenbetsu.html

○ ウナギの蒲焼(かばやき)

 ウナギの調理法の代表的なものの蒲焼(かばやき)で、開いて串(くし)に刺し、醤油とみりんを会わせたたれで付焼にする。関東風は背開きにして白焼して、いちど蒸してから仕上げ、関西風は腹開きにし蒸さずに仕上げる。したがって、関東のものの方がやわらかいという。特に土用の丑(うし)の日に賞味する。もとはウナギを丸のまま竹串を通して焼き、その形ががま(蒲)の穂に似るための名称という。 蒲焼(かばやき、ウィキペディア): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%92%B2%E7%84%BC

 また、開いたウナギを焼いて蒸した「白焼」、かば焼を芯(しん)にした玉子焼である「うまき」、白焼をキュウリとともにあえた「うざく」なども、それぞれにうまい調理法です。

 私は、戦後まもなく小学生のころの夏休みに、ふるさとの阿讃山麓の多くの溜池で、ドジョウや大きなミミズ(ドバミミズ?)をエサにし、仕掛けの夜釣りでウナギを釣って、親父に蒲焼きにしてもらったことを覚えています。かなり山に近い溜池でも毎年ウナギガ釣れることから、ウナギはその池で自然に生まれ育つものと思っていました。

 今年2012年(平成24年)は、年末から4月までが主な漁期となる、九州や四国、近畿など主要産地の河口で捕獲する養殖ウナギの原料、稚魚(シラスウナギ)が極度の不魚で(昨年の推定漁獲量9.5トンの半分以下)、取引価格が過去最高レベルに高騰している(全国平均でキロ当たり、昨年の85万以上から200~250万円まで)ことが関係者の話で分かりました。養殖ウナギや蒲焼きなど製品の値上げも既に始まっており、経営難の業者が出ることも心配されるので、水産庁は近く自治体関係者や研究者らを集めた対策会議を開くことになりました。(2012年(平成24年)2月6日(月)、北陸中日新聞、夕刊より

(参考文献) 下中邦彦編: 小百科事典(初版)、平凡社(1973); 新村出編: 広辞苑(第4版)、岩波書店、1991); 樋口清之監修: 生活歳時記(第2版)p.413、土用の丑の日、p.431、うなぎ、p.785、土用、三宝出版(1994); 朝日新聞朝刊: ウナギの卵発見、マリアナ沖、世界初 自然界で(2011年2月2日(水)、天然ウナギの卵大量採取に成功、「完全養殖に期待」(2011年7月12日(月); 北陸中日新聞朝刊: ニホンウナギの卵発見、海域初特定、日本の南2000キロ、東大などのチーム 完全養殖に道(2011年2月2日(水).

(追加資料) ニホンウナギの卵(google画像検索): http://www.google.co.jp/search?hl=ja&rlz=1T4GGLG_jaJP443JP443&q=%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE%E3%81%AE%E5%8D%B5&um=1&ie=UTF-8&tbm=isch&source=og&sa=N&tab=wi&ei=3wApT7ChJYfXiQLT__GfCg&biw=1366&bih=586&sei=OAEpT-6ZEoP-iQKS5enhCg .

(追加説明) ○ ニホンウナギの産卵場所と回遊に関するする本格的な調査は、40年ほど前の1970年代に始まっています。東京大学大気海洋研究所のチームは、ウナギの産卵場所を海山付近と推定、ウナギの内耳にある耳石(じせき)の分析から産卵時期は新月に一致すると考えました。そして、2005年(平成17年)には、孵化(ふか)後2日目の仔魚(しぎょ)を採集しましたが卵は見つからず、2008年(平成20年)からは水産総合センターなどと共同で船を増やし再調査し、塩分濃度が急激に変化する潮目(しおのめ)と、海山とが交わる地点を集中的に探し、2009年(平成21年)5月、新月の2日前、深さ3000~4000m以上の海山が連なる「西マリアナ海嶺(かいれい)」の南端海域、水深約200mのところで、プランクトン用の網で海水をろ過して、直径は平均1.6mmで受精後約30時間とみられるニホンウナギの卵を発見しました。その分布域は10km四方委に限定されていて、卵は約36時間で孵化(ふか)するといい、船上d孵化(ふか)した卵もあったという。

○ ウナギの近縁

 オオウナギは近似種で、大きいものは体長約2m、体重20kg以上にも達します。南日本~太平洋熱帯部、アフリカ東部に分布し、日本では静岡県伊東市浄の池、和歌山県西牟婁郡富田川などのものは、天然記念物に指定されています。 オオウナギ(市場魚介類図鑑):http://www.zukan-bouz.com/unagi/unagi/oounagi.html. 

 ヤツメウナギは、姿はウナギに似ているが、ウナギとは異なるものです。目のうしろにエラ穴が七つあり、目が八つあるように見えるところから、その名があります。島根県以北の日本海側に多く、ウナギの代用として賞味されています。とくに秋田県の秋田市、能代市などが産地として有名です。食べ方としては、泥を吐(は)かせたヤツメウナギを1cm厚のそぎ切りにし、ネギ、シイタケ、豆腐、セリなどと味噌仕立ての鍋にします。なお、ヤツメウナギにはビタミンAが多く、「鳥目」を直す効果があると言われています。 ヤツメウナギ(市場魚介類図鑑): http://www.zukan-bouz.com/sameei/mugaku/yatumeunagi.html

 デンキウナギはシビレウナギのの別称で、コイ目シビレウナギ科の淡水産の硬骨魚です。南アメリカのオリノコ川、アマゾン川中・下流域の原産で、長さ約2mにもなります。形はウナギに似ていますが、コイ類と近縁です。体の後方はやや側扁(そくへん)し、鱗(うろこ)はなく体色は暗褐色です。大形の発電器をそなえ、他の動物を電気で倒して食べます。発電魚のなかで発電力最大(最高電圧600~800V、電流1A)、発電器官は小さな発電板が多数集合したもので、筋肉組織の分化によるものです。 デンキウナギ(National Geographic、ナショナルジオグラフィック、ホームページ): http://www.nationalgeographic.co.jp/animals/fish/electric-eel.html

○ 土用丑日(どよううしのひ) 土用(立夏前18日間)にウナギを食べる習慣は、奈良時代からあったようです。万葉集で大友家持(718?~785)は「石麻呂(いはまろ)に吾物申す夏やせによしと云ふ物ぞむなぎ取りめせ」と詠んでいて、ウナギが夏やせに効くということはかなり古くから知られていたことらしい。

 丑(うし)の日ウナギを食べるようになったのは、江戸時代、平賀源内(1728~1780)がウナギ屋に頼まれ、「明日土用丑の日」という看板を書いたのが縁でウナギ屋が大繁盛し、それがきっかけとなったともいわれています。他にもいくつかの説があるが、暑い盛りで食欲のないこの時期に、栄養価の高いウナギを食べるのは理にかなっているといえよう。(生活歳時記、p.413、土用の丑の日、p、785、土用(どよう)、より)

○ 水産総合研究センター(横浜市)などのチームは、2012年(平成24年)2月23日(木)、天ぷらの食材で知られる「マアナゴ」の、ふ化後間もないし仔魚(しぎょ)を沖の島の南380kmの海域で採集することに成功、「産卵場所は周辺の海底山脈だと特定した」と発表しました。既に産卵場所が特定されたニホンウナギと同様、海嶺を目印に産卵している可能性があるという。(2012年(平成24年)2月24日(金)、北陸中日新聞、夕刊より)

(追加説明)

 黒潮 本州南岸に巨大な「ひ」の字が居座っている。気象庁が毎日更新する黒潮の大蛇行の解説図に見入る。---

黒潮は、地域ごとに呼び名が違う。西日本では「真潮(ましお)」「本潮(ほんじお)}{日の本潮(ひのもとしお)。伊豆あたりでは「落潮(おとしお)」、東北では「桔梗水(ききょうすい)」。太古より海の幸をもたらしてくれた潮に対する尊崇の念を感じさせる呼称である。(天声人語、2017.11.4)

« マリモ(毬藻、緑藻類)の遺伝子(DNA)解析、世界のマリモは阿寒湖(釧路、北海道)を起源とする、とは(2012.2.1) | トップページ | ジベレリン(植物ホルモン)、イネ馬鹿苗病菌の代謝物、種なしブドウの生産(ジベレリン処理)、コムギやイネの改良による増産(緑の革命、背丈が低く倒れにくい品種)、とは(2012.2.13) »

● 農林水産(穀物、野菜、果物、酪農、養殖、食品、花粉症、農地改革)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« マリモ(毬藻、緑藻類)の遺伝子(DNA)解析、世界のマリモは阿寒湖(釧路、北海道)を起源とする、とは(2012.2.1) | トップページ | ジベレリン(植物ホルモン)、イネ馬鹿苗病菌の代謝物、種なしブドウの生産(ジベレリン処理)、コムギやイネの改良による増産(緑の革命、背丈が低く倒れにくい品種)、とは(2012.2.13) »

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー

フォト

アクセス解析

無料ブログはココログ