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2012年3月10日 (土)

特産物の名の由来、コマツナ(小松菜)、インゲンマメ(隠元豆)、サツマイモ(薩摩芋)、伊予カン(伊予柑)、タナカビワ(田中枇杷)、高野豆腐、金山寺味噌、地方の名(守口、五郎島、鳴門、伊勢、加賀、吉野)のついた特産物、とは(2012.3.10)

  日常において何気なく耳にしている、地方の特産物の名(地名、人名など)のついた食べもの(野菜や果実、加工食品など)があります。それらは、その土地の歴史と気候・風土にあったものが多い。そこで、それらの名の由来について、改めて調べてみました。

○ コマツナ(小松菜、小松川、東京)

 アブラナ科(アブラナ属)の1年生または2年生の野菜です。在来種のアブラナ類のカブから日本で分化(ぶんか)したものといわれています。旧東京府南葛飾郡小松川村(現東京都江戸川区小松川)の特産なので、この名があります。明治初年から盛んに栽培され、現在では、東京、神奈川、埼玉、千葉など、関東地方が全国の8割を生産しています。

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こまつな小松菜、野菜図鑑、農畜産業振興機構、東京、google画像): http://vegetable.alic.go.jp/panfu/komatna/komatna.htm

 葉は長楕円形で、濃緑色の葉は柔(やわ)らかくて甘味があります。雑煮や汁の実、ひたし物、カラシあえ、ゴマあえ、煮物、鍋物などに広く用いられています。寒さに強く、2月に収穫できる品種もあります。なお、3、4月に種まきし、つまみ菜とするものを、とくに「ウグイスナ」と呼んでいます。

○ インゲンマメ(隠元豆、隠元禅師、中国)

 マメ科(インゲンマメ属)の1年生の野菜です。年に3度とれるところから「サンドマメ」の異称があります。蔓性(つるせい)の草本で、秋に結実します。熱帯アメリカ(中米)の原産です。世界で広く栽培され、マメ類では大豆、落花生に次ぐもので、インド・ブラジル・中国に多い。わが国では北海道が主産地です。品種は約200品種ときわめて多い。

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インゲンマメ隠元豆、科学技術研究所、google画): http://www.kagiken.co.jp/new/kojimachi/hana-ingenmame_large.html

 日本には江戸時代、明の僧、隠元禅師(いんげんぜんじ、1592~1673、黄檗宗、福建、中国)がもたらしたということで、その名があります。正確には、禅師が日本に伝えたのは、「フジマメ」と呼ばれるインゲンマメの一種です。関西では「フジマメ」を「インゲン」といい、本種を「サンドマメ」という。 

 インゲンマメは肉類や小イモ、ナス、油揚などと煮つけにします。また、ゴマ酢あえや野菜揚げ、ベーコンなどと油いためにします。なお、梅雨時にはサヤに茶色の斑点(はんてん)のあるものが出回りますが、これは味も落ちるので避けた方がよい。

○ サツマイモ(薩摩芋、甘藷とも、薩摩、鹿児島)

 ヒルガオ科(サツマイモ属)の1年生の作物です。異称多く、カライモ(甘藷、カンショとも)、トウイモ、リュウキュウイモ、アメリカイモなどと呼ばれています。原産地はアメリカ大陸の熱帯地域です。日本に伝来したのは17世紀の初め、中国、琉球(沖縄)を経て薩摩(鹿児島)に伝わり普及しました。 

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  さつまいも薩摩芋、植物図鑑、weblio 辞書、google画): http://www.weblio.jp/content/%E3%81%95%E3%81%A4%E3%81%BE%E3%81%84%E3%82%82

 茎は蔓性(つるせい)で、地下に多数の塊根(かいこん、芋、イモとも)をつけます。暖地では、秋、ヒルガオに似た淡紅色の花を開きます。サツマイモはふかして食べるほか、キントンや揚げ物、煮物、イモがゆなどにします。また、酒類、アルコール、デンプンの原料となります。

○ 伊予カン(伊予柑、伊予、愛媛)

 ミカン科(ミカン属)の低木で、ダイダイ類の柑橘(かんきつ)の一品種です。ミカンより成熟の遅い春の柑橘類(かんきつるい)です。1887年(明治20年)山口県で発見され、1890年(明治23年)愛媛県に伝わり、気候、風土にあったので、イヨカンの名で広く栽培されるようになりました。 

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イヨカン伊予柑、ウィキペディア、google画): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A8%E3%82%AB%E3%83%B3

 樹高は4~5m、花は白色、果実は250~300gになります。濃い黄だいだい色で、皮は厚いがミカン同様むきやすく、酸味と甘味が適度に調和し、風味がさわやかです。1~2月に収穫し、3~4月まで貯蔵できます。

 同じ柑橘類(かんきつるい)に「三宝カン(さんぽうかん)」と「鳴門カン(なるとかん)」があります。前者は和歌山県の特産で、同県海草郡で多く生産されています。果頂部が少しくびれているところから「ダルマミカン」の別称があります。後者はその名が示すとおり、兵庫県淡路島の特産です。「伊予カン(いよかん)」よりもいくらか平たい感じがします。これらの柑橘類(かんきつるい)は、そのまま食べる以外に、サラダの材料にしたり、皮をマーマレードに利用したりします。

○ タナカビワ(田中枇杷、田中芳男、植物学者)

 ビワはバラ科(ビワ属)の果樹で、初夏の短い期間に出回る、季節感あふれた果実です。歴史は古く、千年以上前の古書にもその名が記されています。果樹として栽培されるようになったのは明治以降のことで、代表品種には「茂木(もぎ)」と「田中(たなか)」とがあります。ビワの原産地は中国の中、南部、わが国の南西部暖地とされています。ただし、わが国原産のものは小さくヒワと澄(す)んで呼ばれ、中国渡来のビワと区別されていました。

 食用価値の高い大きなものが栽培されるようになったのは、幕末近い天保・弘化年間(1830~1848)で、中国から舶載(はくさい)された果実の種子が長崎近郷の茂木(もぎ)に播(ま)かれてからです。この品種は最初の栽培地の名をとって「茂木(もぎ)」と呼ばれています。もう一つの有名品種の「田中(たなか)」は、長崎から東京に持ち帰り、播種(はしゅ)し選抜(せんばつ)した植物学者、田中芳男(たなかよしお、1838~1916)の名に因(ちな)むものです。

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タナカビワ田中枇杷、engei net): http://www.engei.net/Browse.asp?ID=8360

 前者の{モギ」は長崎をはじめ、鹿児島、佐賀、愛媛に多く、後者の「タナカ」はおもに長崎県、千葉県、香川県で栽培されています。開花は11月上旬から2月下旬、枝先の褐色の綿毛をかぶった円錐花序(えんすいかじょ)に白色の小花が多数着き、芳香を放ちます。私の郷里(引野、松島、のち上板、徳島)の屋敷には、大きな実をつけた「タナカビワ」と小さな実をつけた俗称「コビワ」があり、毎年、大麦の収穫の時期、6月頃によく食べたのを覚えています。

○ 高野豆腐(こうやどうふ、高野山、和歌山) 

 寒中に豆腐を小形に切って熱湯をかけ、屋外で凍らせた後、乾かしたものです。 紀州(和歌山)の高野山が産地として有名なことから、その名が生まれました。寒い地方での偶然の産物ということで、その名も氷豆腐、凍り豆腐、凝豆腐(こごりどうふ)、信州地方では「みすず豆腐」、東北地方では「しみ豆腐」などの呼び名があります。

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高野豆腐(こうやどうふ、つくる楽しみ、google画像): http://ws-plan.com/tsukuru/kouyatofu.html. 高野豆腐(こうやどうふ、ウィキペディア): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E9%87%8E%E8%B1%86%E8%85%90. 高野山の魅力(ホームページ、和歌山):http://www.geocities.co.jp/kmaz2215/. 

 もともとは、温度が十分に下がりそうな冬期晴天の夜、豆腐を一定の形に切り、屋外に出して簀子(すのこ)上に豆腐を並べて自然凍結させ、これを10日位繰り返して作りました。現在では、ほとんど冷凍機を用いる人工冷凍法により年中作っています。熱湯でもどしてから清水にはなち、軽くしぼったのち、含め煮、うま煮、すしの具、精進料理などに利用されています。

○ 金山寺味噌(きんざんじみそ、径山寺味噌とも、径山寺、中国)

 金山寺味噌(きんざんじみそ)は、主に和歌山県、千葉県、静岡県に伝わる味噌の一種です。正しくは径山寺味噌と書きます。中国浙江省(せっこうしょう)杭州の古寺経山寺(きんざんじ)から製法が伝来したのでこの名があります。この寺は中国五山の一つで、8世紀中頃に法欽の開創、禅の道場として栄えました。 径山寺(きんざんじ、杭州、中国、google画像検索): https://www.google.co.jp/search?q=%E5%BE%84%E5%B1%B1%E5%AF%BA&hl=ja&rlz=1T4GGLG_jaJP443JP443&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=D416T6CfGc7LmAXnj6m0Aw&ved=0CHIQsAQ&biw=1366&bih=586

  日本に伝わったのは、鎌倉時代、建長年間(1249~1255)で、信州(長野)の僧、心地覚心(しんちかくしん、1207~1298、臨済宗)が中国で製法を習って、それを持ち帰ったのがはじまりだといわれています。

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金山寺味噌(全国郷土料理全集、Yahoo! JAPAN、google画): http://local-specialties.com/gourmet/000242.html

 金山寺味噌(きんざんじみそ、径山寺味噌とも)は、嘗味噌(なめみそ)の一種で、その製法は、炒(い)り大豆と大麦の麹(こうじ)に食塩をまぜ、茄子(ナス)、白瓜(シロウリ)などをひと晩、塩押ししてからきざんで加えます。これに麻の実やシソ、ショウガをきざんだものを加え、押しブタをして重石をかけます。密閉して8~10ヵ月で熟成します。そして、赤褐色のみそにし、甘味を加えそのままいただきます。

(参考文献) 下中邦彦編: 小百科事典(初版)、平凡社(1973); 新村出編: 広辞苑(第4版)、岩波書店(1991); 樋口清之監修: 生活歳時記(第2版)、三宝出版(1994).

(参考資料)  地方の名のついた特産物   

守口大根と守口漬(もりぐちだいこん、もりぐちずけ、漬物協会、愛知県): http://www.tsukemono.sakura.ne.jp/moriguchi.html

五郎島金時(ごろうじまきんとき、加賀伝統野菜、粟崎、金沢市、石川県): http://www.gorojima-kintoki.com/

鳴門金時(なるときんとき、物産センター、徳島県): http://www.tokushima-shop.jp/?mode=f4

伊勢芋(いせいも、伊勢一、三重県): http://www.iseichi.com/iseimo.html

加賀丸芋(かがまるいも、加賀丸いもドットコム、岡元農場、石川県): http://kagamaruimo.com/

吉野葛(よしのくず、天極堂、奈良県): http://www.kudzu.co.jp/introduction/index.html

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