囲碁(国際大会)、世界の囲碁人口(約70ヵ国、3800万人)、プロ棋士の世界棋戦(10タイトル)、プロ棋士の世界ランキング(韓国、中国が上位独占)、とは(2012.4.20)
日本は、20年ほど前までは、囲碁の世界最強国であったが、その後、中国と韓国に追い上げられ、最近では、プロ・アマともに全く歯が立たなくなっているなど、よく耳にするようになってきました。その原因は、中韓との違い、特に若手の層の厚さといわれていますが、実情はどうなっているのか、改めて調べてみました。
○ 世界の囲碁人口分布(約70ヵ国、3800万人)
- 世界の囲碁人口分布図(日本棋院、東京、google画像) 世界の囲碁協会(日本棋院、東京): https://www.nihonkiin.or.jp/link/igfederation.html
世界中で囲碁を打って楽しむ人々は、約3800万人いるといわれています。囲碁人口の多い国(10ヵ国)は、①中国(2000万人)、②韓国(900万人)、③日本(500万人)、④台湾(60万人)、⑤アメリカ(20万人)、⑥ロシア(10万人)、⑦ドイツ(5万人)、⑧イギリス(4万人)、⑨オランダ(3万人)、⑨ブラジル(3万人)、⑨フランス(3万に)、となっています。
また、囲碁の各国間の交流も次第に盛んになり、1955年(昭和30年)、5ヶ国のアマチュア棋士が参加しての国際囲碁トーナメント大会、1963年(昭和38年)~1964年(昭和39年)、9ヶ国によるインターナショナルアマチュア•碁•トーナメントの開催がありました。1979年(昭和54年)、世界アマチュア囲碁選手権戦となり、15ヶ国の参加で開始、2007年(平成19年)、68ヶ国•地域が参加するまでになっています。
○ プロ棋士の世界棋戦(10タイトル)
囲碁は、現在では約70ヵ国・地域にまで広がりを見せています。 プロ棋士が出場する最も伝統のある世界戦は、1988年(昭和63年)創設の世界囲碁選手権・富士通杯です。その後、テレビアジア(1989年)、応氏杯(1989年)、東洋証券杯(1992年)、三星火災杯(1996年)、LG杯(1997年)、春蘭杯(1999年)、トヨタ&デンソー杯(2003年)、中環杯(2005年)、BCカード杯(2009年)などが創設されました。
また、世界戦(世界棋戦)の各国の優勝回数は、1988年(昭和63年)~1994年(平成6年)まで、日本11,韓国7,中国0など、日本は世界一の囲碁強国でした。 が、1995年(平成7年)~2005年(平成17年)まで、韓国40,日本9,中国7など、韓国1強時代となり、2006年(平成18年)~2011年(平成23年)では、中国18,韓国15,台湾1,日本0など、現在、中韓並立時代となっています。
○ 主要国際プロ棋戦の囲碁世界タイトルの獲得者一覧表
年 度 | 富士通杯 | 三星火災杯 | LG杯 | 春蘭杯 | トヨタ杯 | 中環杯[2] | 応氏杯 | 東洋証券杯 | TVアジア | 備考 |
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1988年 | 武宮正樹 ![]() |
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1989年 | 武宮正樹 ![]() |
曺薫鉉 ![]() |
武宮正樹 ![]() |
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1990年 | 林海峰 ![]() |
梁宰豪 ![]() |
武宮正樹 ![]() |
東洋証券杯は日本2、台湾2名が招待 | ||||||
1991年 | 趙治勲 ![]() |
徐奉洙 ![]() |
武宮正樹 ![]() |
東洋証券杯は日本3、中国3、台湾2名が招待 | ||||||
1992年 | 大竹英雄 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
武宮正樹 ![]() |
東洋証券杯が本格的な国際戦に移行 | ||||||
1993年 | 劉昌赫 ![]() |
徐奉洙 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
依田紀基 ![]() |
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1994年 | 曺薫鉉 ![]() |
曺薫鉉 ![]() |
大竹英雄 ![]() |
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1995年 | 馬暁春 ![]() |
馬暁春 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
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1996年 | 李昌鎬 ![]() |
依田紀基 ![]() |
劉昌赫 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
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1997年 | 小林光一 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
曺薫鉉 ![]() |
兪斌 ![]() |
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1998年 | 李昌鎬 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
王立誠 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
依田紀基 ![]() |
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1999年 | 劉昌赫 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
曺薫鉉 ![]() |
依田紀基 ![]() |
東洋証券杯が終了 | ||||
2000年 | 曺薫鉉 ![]() |
劉昌赫 ![]() |
兪斌 ![]() |
王立誠 ![]() |
曺薫鉉 ![]() |
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2001年 | 曺薫鉉 ![]() |
曺薫鉉 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
劉昌赫 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
曺薫鉉 ![]() |
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2002年 | 李世乭 ![]() |
曺薫鉉 ![]() |
劉昌赫 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
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2003年 | 李世乭 ![]() |
趙治勲 ![]() |
李世乭 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
周鶴洋 ![]() |
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2004年 | 朴永訓 ![]() |
李世乭 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
朴永訓 ![]() |
兪斌 ![]() |
中環杯準決勝~決勝は2005年1月 | ||||
2005年 | 李世乭 ![]() |
羅洗河(中) | 張栩 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
李世乭 ![]() |
崔哲瀚 ![]() |
常昊 ![]() |
張栩 ![]() |
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2006年 | 朴正祥 ![]() |
常昊 ![]() |
古力 ![]() |
王檄 ![]() |
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2007年 | 朴永訓 ![]() |
李世乭 ![]() |
周俊勲 ![]() |
古力 ![]() |
李世乭 ![]() |
李昌鎬 ![]() |
李世乭 ![]() |
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2008年 | 古力 ![]() |
李世乭 ![]() |
李世乭 ![]() |
BCC杯 | 李世乭 ![]() |
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2009年 | 姜東潤 ![]() |
孔傑 ![]() |
古力 ![]() |
常昊 ![]() |
古力 ![]() |
崔哲瀚 ![]() |
古力 ![]() |
孔傑 ![]() |
トヨタ杯が終了 | |
2010年 | 孔傑 ![]() |
古力 ![]() |
孔傑 ![]() |
李世乭 ![]() |
孔傑 ![]() |
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2011年 | 朴廷桓 ![]() |
朴文尭 ![]() |
李世乭 ![]() |
李世乭 ![]() |
孔傑 ![]() |
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2012年 | 江維傑 ![]() |
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年 度 | 富士通杯 | 三星火災杯 | LG杯 | 春蘭杯 | トヨタ杯 | 中環杯 | 応氏杯 | BCC杯 | TVアジア | 備考 |
- 囲碁の国際棋戦に厳密な「主要」「公式」の定義は無いため、ここでは日本棋院ホームページのプロ棋戦情報に掲載されている棋戦を「主要」として扱う。
- 中国棋士は政治的理由のため不参加。
囲碁世界タイトル獲得者一覧(ウィキペディア): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%B2%E7%A2%81%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AB%E3%81%AE%E7%8D%B2%E5%BE%97%E8%80%85%E4%B8%80%E8%A6%A7.
○ プロ棋士の世界ランキング(韓国、中国が上位独占)
2012年(平成24年)4月でのプロ棋士の世界ランキングが発表されています。囲碁棋士世界総合レーティング: http://sports.geocities.jp/mamumamu0413/total.html.によれば、世界の上位10名は、① 朴(韓国、19才)、②李(韓国、29才)、③謝(中国、27才)、④陳(中国、22才)、⑤范(中国、15才)、⑥古(中国、29才)、⑦江(中国、20才)、⑧朴(中国、24才)、⑨孔(中国、29才)、⑩姜(韓国、23才)となっています。
日本の棋士は、30位井山(日本、22才)、56位張(日本、32才)、57位山下(日本、33才)、67位河野(日本、31才)、73位高尾(日本、35才)、81位羽根(日本、35才)、106位結城(日本、40才)、114位依田(日本、46才)、123位趙(日本、55才)、127位村川(日本、21才)、131位坂井(日本、39才)など、となっています。ということで、残念なことですが、現在では、中国と韓国の若手の台頭がめざましく、日本は大きく立ち後れていることが分かりました。
なぜ日本は勝てないのか。井山は答えた。「日本は中国、韓国に比べ、僕より若い世代に強い棋士が少ない。僕も含め、もう少し頑張らなければいけない」。いまは日本が中国、韓国に学ぶ時代になっているという。
(参考文献) 朝日新聞: 囲碁界 中韓2強時代、若手育成遅れ、落日の日本、国家チームで養成(中国)、逸材出現でブーム(韓国)、2011年(平成23年)9月6日(火)朝刊より.
(追加説明) 近年は、世界中の人々と、インターネットと電子メールを使って囲碁を楽しむことができます。電子のメール碁は、インターネト囲碁(日本棋院): http://u-gen.nihonkiin.or.jp/; 日本メール碁会(JMGS): http://e-mail-go.sunnyday.jp/など、時代の流れを感じます。
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