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2012年5月 4日 (金)

異常気象(原因)、南米ペルー沖で海面水温が高くなるエルニーニョ現象、逆に海面水温が下がるラニーニャ現象、北極圏の寒気が周期的に放出される北極振動、地磁気の逆転、チバニアン、とは(2012.5.4)

   異常気象(いじょうきしょう)とは、広辞苑によれば、まれに発生する気象。多くは災害を伴う。気象学上は、気温・降水量などの気象要素が過去30年以上にわたって観測されなかったほどの値を示す場合、また、集中豪雨・竜巻などの突発的な現象や同じ気象が農作物などに被害がでるほど長期間続く場合です。

 近年、異常気象により、世界各地で大災害が起きています。その原因となる、南米ペルー沖で海面温度が高くなるエルニーニョ現象、逆に海面温度が下がるラニーニャ現象、北半球で気圧の高低が繰り返される北極振動(ほっきょくしんどう)などについて、改めて調べてみました。

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エルニーニョ/ラニーニャ現象による太平洋赤道域の海面水温の変化、エルニーニョ現象、1997年(平成9年)11月 ラニーニャ現象、1988年(昭和63年)12月、平年に比べて高温の場合は赤(暖色系)、低温の場合は寒色系(青)で表示、出典:気象庁 気象統計情報「エルニーニョ/ラニーニャ現象とは」、google画像.

環境展望台(地球の成り立ちと気候変動、エルニーニョ/ラニーニャ現象、国立環境研究所、つくば市、茨城県):http://tenbou.nies.go.jp/learning/note/theme1_3.html

○ エルニーニョ現象

 エル・ニーニョは、スペイン語で「男の子、幼な子イエスとも」の意味で、ペルーでは昔から、数年に一度、クリスマス前後にペルー沖の海水温が2~3℃急上昇する状況が知られていました。これをキリストにちなみ「神の子」をも意味する「エルニーニョ」と言っていました。ペルーで不魚・集中豪雨などが生じるほか、世界各地にさまざまな異常気象をもたらします。

 1970年(昭和45年)年代以降、ペルー沖を含む太平洋赤道域の広い範囲の水温変動が世界の異常気象の原因になっていることが分かってきて、研究が急速に進みました。地域の用語だった「エルニーニョ」が気象用語として使われるようになりました。

 エルニーニョ現象は、太平洋中部から東部の赤道域の水温が0.5℃以上高い状態です。日本では暖冬、冷夏になる傾向があります。太平洋の海水温の変化は、東アジア以外にも、北アメリカやインド洋、アフリカなどにも玉突きのように影響を及ぼし、各地の雨の量や気温を大きく左右します。世界各地で水不足や高温、洪水などを起こし、食糧危機や戦争につながるなど、世界の歴史の転換点にもなってきました。

 ○ ラニーニャ現象  

 ラニーニャは、スペイン語で「女の子、の意味で、南米ペルー沖の暖かい海水が強い東風で西に吹き寄せられることで、太平洋中部から東部の赤道域で海面水温がいつもの年より0.5℃以上低い状態が6ヵ月程度以上続く現象です。

 気象庁の観測では、この62年間でラニーニャ現象は14回起きました。ひとたび起きると1年ほど続くことが多く、世界各地に異常な気象を巻き起こします。

 日本大雪に見舞われた1年前、オーストラリアでは大洪水が起きましたが、これは2010年((平成22年)夏から昨年春まで続いたラニーニャ現象が原因であると日本大学(地球システム科学科)の山川修治教授は指摘しています。

 太平洋は地球表面の3分の1を占める広大な海です。赤道周辺では貿易風(ぼうえきふう)と呼ばれる東風が常に吹いています。南アメリカのペルー沖では、風で海水が西へ流されるため、冷たい海水が南極海からと南アメリカ西岸沖の深い層から入ってきます。この東風が普段より強まり、太平洋東部から中部が冷たい水で覆われるのがラニーニャ現象です。

 インドネシア近海では、表層の暖かい水がたっぷり運び込まれ、大量の水蒸気が立ち上がり入道雲が次々に生まれます。は、東南アジアで大気の対流活動が活発化した影響で、その北側の偏西風(へんせいふう)を蛇行させ、日本に寒気を呼び込みます。は、太平洋高気圧の勢力が強まり、日本は暑くなる傾向があります。

○ 北極振動

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北極振動(AO)がプラスの時とマイナスの時の偏西風ジエット気流(矢印)と各地の気温偏差(暖冷)および気圧偏差(高低)の分布北極振動と世界の異常気象、独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC):http://www.jamstec.go.jp/frcgc/jp/report/2004/jan/tanaka.html 、google画像.

(解説) 北極圏の気圧が高く、日本列島や北米、欧州など中緯度帯の気圧が低いと、寒気が中緯度帯に放出され南下しやすくなります。逆に北極圏の気圧が低いと、寒気が蓄積され南下しにくくなります。こうした北半球の大気現象が繰り返されることを北極振動と呼んでいます。

 その詳しい発生原因は分かっていません。寒気の蓄積と放出の周期も複雑で、数週間から数十年程度のさまざまな周期が重なっていると考えられています。1998年(平成10年)に米国の気象学者、デヴィッド・トンプソン(David W. J. Thompson)とジョン・ウォーレス(John M. Wallace)が提唱した、比較的新しい概念の大気現象です。 

 北極からの冷たい空気の出方が変わる北極振動でも、天候が変わり、冬がとても寒くなることや、逆に冷たい空気が来ずに暖冬になることがあります。

 最近の異常気象に関係した現象としては、2009年(平成21年)7月、日本海側で日照不足、中国・九州地方で豪雨は、エルニーニョ現象、2009年(平成21年)12月~2010年(平成22年)2月、ヨーロッパ、ロシア西部などの大寒波は、北極の寒気の流れ込み、偏西風の大きなうねりなどが原因とされています。

 2010年(平成22年)7月、ヨーロッパ、ロシア、中国北部、米国東部で異常高温は、偏西風の大きなうねり、エルニーニョ現象の終息など、2010年(平成22年)夏、日本各地で異常高温は、エルニーニョ現象の終息、ラニーニャ現象などが原因とのことです。

 異常現象は、ここで説明したような現象がいくつも合わさって起きることがほとんどで、根本の原因となると、まだまだ解明できていないこともたくさんあるとのことです。

(参考文献) 新村出編: 広辞苑(第4版)、岩波書店(1991); 朝日新聞: 小坪遊、異常気象 どうして起きるの? 朝日NIEスクール、ののちゃんの自由研究、2011年(平成23年)12月22日(木)朝刊より; 北陸中日新聞: 西に偏る冬将軍、冷気「北極振動」、ラニーニャ現象、2011年(平成23年)1月8日(土)夕刊より; 北陸中日新聞: 「ラニーニャ」で日本ブルブル、なるほどランド、2012年(平成24年)2月5日(日)朝刊より.

(参考資料) 気象庁(エルニーニョ/ラニーニャ現象、最新情報、国土交通省、東京): http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/elnino/

(追加説明) 国連の機関「気候変動に関する政府間パネル」は報告書で、地球温暖化が進むと異常現象が起きやすくなると予測しています。

 が、2012年(平成24年)4月19日(木)、国立天文台などのチームが太陽の北極で磁石のS極とN極がひっくりかえるような地場の反転が起きつつあることを観測したと発表しました。通常は同時に反転する南極の地場に、変化の兆しはなく、過去に地球が寒冷化した時期の太陽の状況に似てくる可能性があるという。国立天文台(自然科学研究機構、本部、三鷹、東京): http://www.nao.ac.jp/

 常田佐久・同天文台教授は「地球の温暖化が抑制される可能性もあり、推移を見守りたい」と話しています。太陽の磁場は約11年周期で反転し、次の反転は2013年(平成25年)ごろと考えられていました。(北陸中日新聞、2012年(平成24年)4月20日(金)、朝刊より)

〇 北極の氷 6番目の小ささ 年最小面積を分析、減少ペースは鈍化  国立極地研究所は2017年9月9日、447.2万㎡となり、今年最少になったと発表した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の観測衛星「しずく」のデータを分析した。本格的な衛生観測が始まった1979年以降、年最小面積としては6番目の小ささ。

 観測史上の最小面積は2012年に記録。過去最少を更新しない期間が5年を超えるのは初めて。12年までのデータによる海氷の減少予測に対し、その後のデータも加えた解析では、減り方が鈍っているという。

 猪上淳・極地研準教授は「地球温暖化は止まっていないが、北極圏では長周期の自然変動の中で海氷が減りにくい時期に差し掛かっている可能性がある」と話している。(朝日新聞、2017.9.16、朝刊)

 地磁気の逆転 チバニアン 地層に時代の痕跡 2018.2.2、朝日新聞デジタル:https://www.asahi.com/articles/ASKCF7J7QKCFUTIL05Y.html

 地球を一つの磁石とすると、N極とS極は何度も逆転してきた。地球内部の核が関係するとみられるが。詳しい仕組みは分っていない。最後に地磁気が逆転したのが77万年前の前後だ。

 千葉県市原市の養老川にある地層の鉱物には、地磁気が逆転した痕跡が良好な状態で残る。この地層には77万年前の御嶽山(長野・岐阜県境)噴火時の火山灰が含まれ、年代を正確に決めるのに役立った。現在、77万〜12万年前の時代をチバニアンと呼ぶ案が、国際学会で検討されている。(北陸中日新聞、2018.2.2)

〇 科学の扉、地球に磁場 まだまだ謎、  「チバニアン」で注目、生命ある惑星の条件?訂正・おわびあり(朝日新聞、2018.1.21):https://www.asahi.com/articles/DA3S13323271.html

46億年の地球史に「チバニアン(千葉時代)」が刻まれる可能性が出てきた。その基準となる千葉県市原市の地層には、地磁気が反転した跡が残る。地球科学の理解などに貢献してきた地磁気だが、メカニズムは十分解明されていない。

 地球は、巨大な磁石に例えられる。地球の誕生から46億年の間に、N極とS極が何度も入れ替わってきた。その影響は地球全体に及ぶため、地質学では地磁気の反転などを目印にして、115の時代に分けている。

 昨年11月、「チバニアン」という言葉が注目された。千葉県市原市の養老川沿いにある地層が、約77万年前の地質の境界を示す基準地として、「国際地質科学連合」の1次審査に通ったからだ。同連合が今後、時代境界を代表する地層として認めれば、マンモスやネアンデルタール人がいた77万年前~12万6千年前は「千葉時代」になる可能性がある。

〇 科学の扉、宇宙から温暖化予測 粒子や水循環、人工衛星でとらえる試み、訂正・おわびあり(朝日新聞、2018.2.11):https://www.asahi.com/articles/DA3S13354874.html

 地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」で掲げた「産業革命からの気温上昇2度未満」にするために残された時間は――。大気中の浮遊物質や水の循環、温室効果ガスを宇宙から観測し、高精度に温暖化を予測する試みが続けられている。

 パリで2015年にあった国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)では、国際的枠組み「パリ協定」が採択された。協定は、各国が温室効果ガスを削減し、産業革命前から温度の上昇を2度より十分低く抑えるという目標を掲げている。

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