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2012年6月18日 (月)

妖怪(ようかい、あらゆる自然の神と裏表の存在)、幽霊(ゆうれい、特定の人の亡霊の出現)、怪獣(鵺)と霊獣(白澤、龍)の姿、とは(2012.6.18)

   昔の人々は、この世にあるすべてのものに霊魂が宿る(アニミズム)とし、あらゆる自然に神の存在を認めていました。そして、その霊魂が荒れて怪異現象(かいいげんしょう)が起きると妖怪(ようかい)の仕業(しわざ)と考え、神としてまつり、鎮(しず)めました。 ということで、妖怪裏表の存在で、人知を越える力への畏怖(いふ)が、妖怪を生みました。

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○ 妖怪(ようかい)

妖怪(ようかい、グラフィック、前川明子、The Asahi Shimbun, 2011年(平成23年)8月8日)

{解説) 妖怪(ようかい)とは、恐ろしさをそそる人知では解明できない超自然的な怪奇な現象、または異様な物体。化物(ばけもの)。 御化け(おばけ)。変化(へんげ)。妖怪(ようかい)は、幽霊と違って、特定の人を選ばず特定の場所や時間に現れる化物(ばけもの)です。

 妖怪には、山の怪(山人、天狗)、海の怪(海坊主、船幽霊)、家の怪(座敷童子、納戸婆)、雪の怪(雪女)、火の怪(鬼火)、音の怪(山彦)、家を訪れる怪(一目小僧)、木の怪(沖縄のきじむん、木霊)、動物の怪(河童、鵺、ぬえ)、道の怪(そで引小僧、送り狼)など種類が多く、民俗学では信仰の普遍性が失われ零落(れいらく)した神々の姿という。 

日本の妖怪一覧(Wikipedia, ウィキペディア): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%A6%96%E6%80%AA%E4%B8%80%E8%A6%A7.

 鬼火(おにび)とは、湿地に小雨の降る闇夜などに燃え出て、空中に浮遊する青火です。燐化水素の燃焼との説もありますが、不明です。また、陰火、幽霊火(ゆうれいび)、狐火(きつねび)、火の玉などともいう。

  動物霊による憑依(ひょうい、霊などがのりうつること)は、神がかり霊寄せ(れいよせ)と同じ信仰に属しています。人間に憑(つ)くとされる動物霊は、キツネ(狐)・イヌガミ(犬神)・ヘビ(蛇)・サル(猿)・カッパ(河童)などです。 一般に、憑(つ)きものは、急速に財をなして成り上がったものへの制裁として考えられ、憑(つ)きものもちのレッテルを彼らに貼りつけることによって社会から隔離し、秩序を保とうとしたものと理解されています。

 このことに関し、私たちは日常の会話で、「今日はついている」、「ものにつかれたようにガムシャラに働く」などといった言い方をすることがあります。

 室町時代以前は、 怪異現象は人々の間で語り継がれ、やがて姿や名前を与えられて絵巻物などに登場しました。が、限られた人しか見られませんでした。このころ発達したお伽草子(おとぎぞうし、短編の挿絵入り物語)の中には、「天狗の内裏」「酒呑童子」「「藤袋草子」など、異類の物語と絵巻があります。 

日本の鬼の交流博物館(ホームページ、酒呑童子伝説含む、福知山市、京都府): http://www.city.fukuchiyama.kyoto.jp/onihaku/index.html.

 江戸時代、妖怪のキャラクター化、大衆化が進んでいます。江戸時代後期には、政権に不満を持つ庶民の代弁者として、浮世絵にも登場しました。 

怪異・妖怪伝承データベース(小松和彦監修、国際日本文化研究センター): http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB/index.html.

 明治、昭和、現在では、新聞錦絵、紙芝居、マンガ、映画、テレビなど新しいメディアが生まれるたびに、妖怪ものは人気のコンテンツになって行きました。

 1908年(明治41年)、日本民俗学の父と称される柳田国男(1875~1962)は、遠野(秋田)出身で文学を志して上京中の佐々木喜善(1886~1933)の話を、主に市谷加賀町(東京)の自宅で聞き取る形で、遠野物語が生まれました。初版はわずか350部、妖怪を含む民間伝承、全部で119話が収められました。

 その世界には、河童、神隠し、山の神、ザシキワラシ、オシラサマ、マヨイガなど、人間以外のものと共存することで得られた豊かさがありました。が、柳田国男がこの世を去り、日本が高度経済成長期に入り、日本人は神を忘れ、妖怪を忌み、獣たちを遠ざけてきました。 

遠野の語り部、YuTube(遠野、秋田): http://www.youtube.com/watch?v=96rY_9SQEWE.

 現代の妖怪イメージは、1960年(昭和35年)代末の「ゲゲゲの鬼太郎」に代表される妖怪ブームです。「鬼太郎」の作者、水木しげるさん(1922~ 、鳥取)は、戦後の日本は電気の明るさで妖怪を消してきた」という。 水木しげる記念館(ホームページ、本町、境港市、鳥取県): http://mizuki.sakaiminato.net/.

 ということで、近年の大地震、大津波など、自然の猛威を目の当たりにして、遠野物語の妖怪たちは、私たちが失った大切なものは何かなど、現代人に生きるのに大切なメッセージを送ってきているという! 

○ 幽霊(ゆうれい)

 幽霊(ゆうれい)とは、広辞苑によれば、①死んだ人の魂。亡霊。②死者が成仏し得ないで、この世に姿を現したたもの。亡者(もうじゃ)。 妖怪と共に化物の一種。死者の霊が生前の姿で出現する現象です。 幽霊(Wikipedia, ウィキペディア): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%BD%E9%9C%8A.

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幽霊(ゆうれい、お菊番町皿屋敷、月岡芳年作、1890(明治23年)、google画像)

(解説) 日本の幽霊は、「四谷怪談(よつやかいだん、お岩の亡霊」「番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき、お菊の亡霊)「牡丹灯籠(ぼたんどうろう、お露の亡霊)」などの怪談に語られ、丑(うし)三つどき柳の影に髪をふり乱して両手をたれ、足がないのに草履(ぞうり)の音がする姿に類型化されました。

 西洋の幽霊は、生前の姿、骸骨(がいこつ)、頭のない人間、半透明な幻(まぼろし)として出現、ドアをノックし音楽や雷鳴を伴い、一番鶏が鳴くと消え失せました。

 中国では死霊を鬼と呼び、横死(おうし)したり供養(くよう)を忘れた死霊は、幽鬼(ゆうき)となって出現、また、経書、剣、桃などは、幽鬼退散に効力があるとされました。 

 私は、小さい子供のころ、どこともなく、郷里の四国霊場第6番札所、安楽寺(真言宗)の焼失前の本堂の北側(お地蔵さんの小さなお堂、墓地?)付近から、闇夜によく火の玉が出るとか、宮川内谷川の堤防の大きな老木と祠(ほこら)のある付近、闇夜にそこを通ったとき、人がタヌキ(狸)やキツネ(狐)に化かされることなど、地元の人からよく聞いたことがあります。現在の安楽寺の本堂は、1957年(昭和32年)火事で焼失、1963年(昭和38年)鉄筋コンクリート造りに再建されました。

 また、阿波狸合戦の「金長狸(きんちょうだぬき)」の活躍のほか、高知県には、昔から「シバテン(芝天狗とも」と呼ばれる相撲好きの河童に似た妖怪がいて、人がよく相撲にさそわれ、負かされるなど、聞いたことがあります。

(参考文献) 下中邦彦編: 小百科事典(初版)、平凡社(1973);  新村出編: 広辞苑(第四版)、岩波書店(1991); 大島、佐藤、松崎、宮内、宮田編著: 図説 民俗探訪事典(1版19刷)、山川出版社(2005); 宗教民族研究所編: ニッポン神さま図鑑、祥伝社(2003); 宮本常一: 絵巻物に見る日本庶民生活誌(26版)、p.210~212、百鬼夜行の世界、中央公論新社(2007); 北陸中日新聞: 日本民俗学の金字塔、遠野物語、著者、柳田国男、2010年(平成22年)7月4日(日)、朝刊より; 朝日新聞: 小川雪、はじめての妖怪、神様と裏表 江戸期にキャラ化、2011年(平成23年)8月8日(月)、朝刊より.

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(追加説明) ○  アニミズムとは、あらゆる事物や現象に霊魂、精霊が宿ると信ずることに基づく原始的宗教観念。animismは、ラテン語のanima(気息、霊魂)に由来。タイラー(1832~1917、進化論的人類学者、英国)の弟子マレット(1866~1943、人類学者、英国)によって、タイラーのアニミズム(宗教の原始的形態)を修正し、プレアニミズム(呪術と宗教の一元論)として唱えられました。

○ (ぬえ)は、平家物語などに見えます。その姿は、頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は虎に、声はトラツグミに似ていたという伝説上の怪獣です。(ぬえ、ウィキペディア): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B5%BA.

○ 白澤(はくたく、白沢とも)は、中国で、想像上の神獣の名。よく人語を話し、有徳な王者の治世に出現するという。 

 その姿は、諸説あり、牛のような体に人面、顎髭を蓄え、顔に3つ、胴体に6つの目、額に2本、胴体に4本の角を持つ姿で書き表されることが多い。また、獅子や竜のような体のものや虎の顔のものなどがあります。 白澤(はくたく、ウィキペディア): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E6%BE%A4.

○ 干支(えと)の「龍(竜とも)」、中国で3000年以上も昔から麒麟(きりん)や鳳凰(ほうおう)と並ぶ神獣霊獣とも)に数えられてきました。中国では、仏教渡来以前から崇拝され、国家建設や皇帝誕生などの瑞兆(ずいちょう)に用いられた結果、後漢の頃にそのイメージがほぼ固まりました。

 その姿は、頭がラクダ、角が鹿、目が鬼(またはウサギ)、耳は牛、項(うなじ)は蛇、腹は蜃(しん、大蛇に似た想像上の動物、ミズチの一種)、鱗(うろこ)はコイ、爪はタカ、手は虎と、9種の動物合体です。これにインド仏教に出てくる仏法守護の水神イメージ(水を治め天翔る聖獣!)が乗って日本に伝わり、古墳壁画にも描かれています。(たつ、りゅう、ウィキペディア): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%9C. (北陸中日新聞: ことしは辰年、竜の世界、サンデー版、大図解シリーズ、荒俣宏、造形に隠された暗号、2012年(平成24年)1月15日(日)朝刊より

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