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2012年12月20日 (木)

塩(食塩とも)、おにぎりと塩、スイカと塩、家畜の草食動物(牛、馬)と塩、塩の主成分(塩化ナトリウム)の働き、塩の清めの役目、忠臣蔵の発端は塩をめぐる商業利権、とは(2012.5.29)

   (食塩とも)は、主成分が塩化ナトリウム(97%>)ですが、少量のカルシウム塩やマグネシウム塩(3%<)含み、塩味の味付け以上に、人や動植物の体(からだ)の生命維持に大切な役割を担っています。そこで、おにぎりと塩、スイカと塩、家畜の草食動物と塩など、重要な塩の働きについて、改めて調べてみました。

(食塩とも、結晶、ウィキペディア: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%A9、google画像) 

〈解説) 現在、日本国内で使われる塩の約85%は輸入にたより、メキシコとオーストラリアの2カ国で9割を占めています。そのほとんどは、海水(平均2.8%の塩化ナトリウムを含む)を塩田に入れて自然蒸発で結晶させた天日塩で、主に工業用に使われています。なお、家庭用・食品加工用の塩はほとんどが国産です。

 ○ 体の中の塩の働き

 塩は、食べて、それがエネルギーになるというものではなく、体細胞における体液の浸透圧(しんとうあつ)のバランス維持をはじめ、体の中にある栄養成分などを血液とともに循環(じゅんかん)させ、最後にその排泄(はいせつ)を助け、健康を保持する働きをしています。

 エネルギーを生む食物は、その中に霊が宿っているというので、たいてい神に祭られています。米(こめ)なら米、麦(むぎ)なら麦、粟(あわ)なら粟、それぞれ穀霊(こくれい、穀物の中にこもっていると信ぜられている神霊)というものがありますが、塩には霊がないので、塩自体を神に祭った例(ためし)は、ありません。

 ○ おにぎりと塩

 ほとんど目立った味のないご飯が、手に塩をまぶしてにぎるだけで非常においしくなるのは、とても不思議です。その決定的な理由は定かではありませんが、推測は可能です。

 米のような植物には、カリウムが多く、白米には、ナトリウムが0.001%に対し、カリウムは0.1%ほど含まれています。ナトリウムは、血液中に存在し、細胞内にはほとんどないのですが、カリウムは逆に、血液中には少なく主に細胞内にあります。そして、血液中で多すぎるカリウムはすぐに尿に排出され、このとき、ナトリウムも同時に出てしまいます。このため、カリウムの多い食品をとったときはナトリウムも多くとらないとつり合いません。

 ご飯のようなカリウムの多い食品に、ナトリウム、つまり塩を加えるとおいしく感じるのは偶然ではなく、体がバランスをとろうとしているからだと考えられます。同じように、カリウムの多いビールを飲むと、塩辛いつまみが欲しくなります。

 日本人が塩をまぶしておにぎりを握るのは、おそらく、今よりもっと植物性の食品を多く食べ、汗を流してナトリウムを失っていた時代、ナトリウム不足に敏感であった名残かも知れません。

○ スイカと塩 

 スイカを食べるとき、塩をふりかけるとおいしく感じるのは、塩味が甘いスイカの味を強調させる、対比効果(たいひこうか)によるものと説明されています。対比(たいひ)は、質の異なる刺激(しげき)を同時に与えたときに、一方の質の強度が高められる現象です。が、このメカニズムについては、まだよく分かっていません。

 塩味は、基本的には、食塩などに含まれるナトリウムイオンが味細胞の突起(とっき)にあるチャンネル(特定のイオンを一定方向に通す通路)を通過することによって起こります。カリウムイオンは、純粋な塩味とは異なる味を生じますが、そのメカニズムについても明らかではありません。

 また、スイカにはカリウムが多く、白米と同様、ナトリウムが0.001%に対し、カリウムは0.1%ほど含まれています。ということで、食べるときに塩をふりかけるのは、おにぎりと塩の場合と同じように、体がバランスをとろうとしてナトリウムを要求しているとも考えられます。 

  ところで、私は以前、スイカの種は毒なので食べないようにと聞いていたのですが、 最近、スイカの種にはリノール酸やタンパク質、ビタミンBやEが豊富に含まれていて、栄養たっぷりで、中国ではお菓子として食べていることを知り驚きました。 食べられる種、食べない方がよい種大切なものを大切に): http://hanbey8.jugem.jp/?cid=7

○ 家畜の草食動物(牛、馬)と塩

 塩は体内で血液に混じって、体液の浸透圧(しんとうあつ)のバランス維持をはじめ、体調を整える働きをします。牛、馬などの草食動物は、ナトリウムをほとんど含まず(0.001%)、カリウムの多い(0.8%ほど)植物をえさにしているため、盛んにナトリウムを含む塩を欲しがります。牧場ではえさに混ぜたり、塩のかたまりを自由になめられるように置いてあります。なお、1日にとる塩の必要量は、人では11.5g、家畜の牛では80g、馬では30~40gとのことです。

 私は、以前に母親の羊水(ようすい)の成分が海水のものとよく似ていることを聞いたことがあり、はるか昔、海の中で生命が誕生したことを思い浮かべました。

〈参考文献) 新村出編: 広辞苑(第四版)、岩波書店(1991); 宮本常一: 塩の道(第45刷)、講談社(2007); 北陸中日新聞: 塩の世界、中日サンデー版、世界と日本、大図解シリーズ、No.808,2007年(平成19年)10月21日(日)朝刊; 日本味と匂学会編: 味の何でも小事典(第4刷9,p.196、伏木亨、おにぎりと塩、講談社(2010).

(追加説明)  ○ 塩の用途 国内で1年間に消費されている約960万トンの塩の8割弱は工業用の原料となり、その用途は鏡やタイヤ、せっけん、CD(コンパクトディスク)、新聞紙などと、多岐(たき)にわたっています。 一方、家庭で使う量はわずか3.2%で、みそ、しょうゆ、加工食品などの食用加工用に使う分を合わせても、食用は全体の13%です。

○ 塩の清めの役目悪魔払いの信仰) 昔は海水でからだを洗って、悪魔(あくま)と不潔なものを取り去る清めをしていました。が、日常生活では簡単にからだを洗えないので、塩の結晶をからだにまくことにより、海水で洗うのと同じにしました。

 たとえば、いやな訪問客が帰ったあととか、お葬式から帰ってきた時など、よく玄関で塩をまいて清めます。いやな訪問客が帰った時は、いやな人は家庭内に悪魔(あくま)やよくないものを持ってきたので、塩で清めようということです。また、お葬式から帰った時は、死んだ人の霊を持って帰ってきたので、塩で死霊(しれい)を禊(みそ)ぎ払おうというわけです。(樋口清之: 日本の風俗起源を知る楽しみ、p.41~42、大和書房(2002)より).

○ 忠臣蔵の発端は塩をめぐる商業利権(仮名手本忠臣蔵) 浅野家は元来常陸(ひたち、茨城)笠間藩(かさまはん)なので、播州(ばんしゅう、播磨、はりま、とも、兵庫)赤穂(あこう)に転封させられたのを機会に、海岸で何か殖産興業(しょくさんこうぎょう)をやれないかと考え、赤穂塩を始めました。そこで大石良雄(内蔵助)は赤穂の塩を、はじめは京都、大阪、堺(さかい)という大きな消費都市に売ろうと市場開拓し、大阪商人がその塩を買い占めて、菱垣廻船(ひがきかいせん)に積んで江戸に運びました。

 将軍(第5代)徳川綱吉(とくがわつなよし、1680~1709)の朝起きの歯磨き用に、赤穂塩を献上し、「赤穂の御用塩」として評判が高まり、江戸っ子にもよく売れました。が、三河の吉良塩は売れなくなってしまいました。このように、忠臣蔵の発端(ほったん)は、じつは商業利得権の争奪戦にあった。

 仮名手本蔵をはじめ、芝居や小説にはかなりの嘘(うそ)があるという。というのは、あの「松の廊下刃傷(ろうかにんじょう)」の2日前まで、吉良義央(きらよしなか、のち上野介、1641~1702)は京都にいました。そして勅使(ちょくし)接伴(せっぱん、接待)がわかったので、勅使より一足先に大急ぎで江戸に帰りました。巷説(こうせつ)にあるように浅野長矩(あさのながのり、1667~1701)から賄賂(わいろ)を取る暇(ひま)などなかったのが事実という。(樋口清之、奈良守康: 新・梅干しと日本刀、江戸・東京編、p.199~202、忠臣蔵、塩をめぐる商業利権が発端(ほったん)となった、祥伝社(2000)より).

 

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