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2012年12月13日 (木)

数字(大数、小数)と図形(黄金比、白銀比)にまつわる歴史実話、東洋、西洋の思考、感性の違い、デジタル(二進法)とアナログ(フーリエ解析)のコンピュター(計算機)、とは(2009.9.5)

   1627年(寛永4年)、和算家吉田光由(よしだみつよし)、1598年(慶長3年)~1672年(寛文12年)は、わが国最初の算術書、仏教語の塵点劫(じんでんごう)に由来する、塵劫記(じんこうき)、を著しました。塵劫という名は、光由が京都五山の第一、嵯峨の天竜寺の玄光(げんこう)に著書をお見せし、名付けてもらったと言われています。これは、中国(周)の数学(算法統宗)を底本とした、大数、小数の名(十進命数法)、九九の掛け算、米や材木の売買、立木の高さの測量、検地など、日本の日常生活にも役立つ初級の和算書(明治末期までに約300種刊行)です。

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立木の高さの測量(たち木の長をつもる事、塵劫記

 大数とは、マクロの世界、1以上の大きい数のことで、十進法(じっしんほう、数がある大きさに達すると、10ごとにまとめる)によれば、一(1)、十(10)、百(10の2乗)、千(10の3乗)、万(10の4乗)、億(をく、10の8乗)、兆(てう、10の12乗)、京(けい、10の16乗)、姟(がい、10の20乗)、秭(ぢょ、10の24乗)、穰(じゃう、10の28乗)、溝(かう、10の32乗)、澗(かん、10の36乗)、正(せい、10の40乗)、載(さい、10の44乗)、極(ごく、10の48乗)、恒河沙(ごうがしゃ、10の52乗)、阿僧祇(あそうぎ、10の56乗)、那由他(なゆた、10の60乗)、不可思議(ふかしぎ、10の64乗)、無量大数(むりゃうたいすう、10の68乗)など、その中でも、恒河沙(インドのガンジス川の砂粒の数)から無量大数までの数の単位は、古代インドの仏教由来の言葉です。

 空海(弘法大師)の入定(にゅうじょう)信仰と結びつく弥勒下生(みろくげしょう)信仰によれば、弥勒菩薩(みろくぼさつ)が56億7000万年後、この世に降誕(ごうたん、下生)し、華林園(かりんえん)の龍華樹の下で開悟(かいご)して仏となり、3回の大法会(だいほうえ、三会)を開いて、釈尊(しゃくそん、お釈迦様)の救済から洩れたいっさいの人々と神々を救済するという。

 生物の中で、肉眼ではほとんど見えず、顕微鏡や電子顕微鏡で初めてその存在が分かるものをまとめて、微生物(びせいぶつ)と呼んでいます。普通、1g(小さじ一杯)の土壌中(土壌菌)には1億、少し肥えた土壌中には10億、人間の大腸内(大腸菌)には、100兆ほどの微生物が生きていることが確認されています。

 生物は、約9億年前から、両親が子供をつくる営み(有性生殖)が始まり、目覚ましい進化を遂げ、環境の変化に適応し、約3000万種の多種多様な生物や人が地球上に生まれ現在に至っています。

 の場合、有性生殖から数えても約9億年、最初の生物(微生物)から数えると約38億年の生物の進化のドラマが、母親の胎内でわずか38週で進行します。妊娠初期24日ごろの胎児は魚に似ています。驚異的なスピードで、遺伝子暗号のプログラム通りのドラマが進行します。一個の受精卵から、38週間で数十兆個の細胞からなる新生児のプログラムを書いたのは、神業(かみわざ)であり、私たちの年齢は、地球生命38億歳と考えられます。

 また、人の遺伝子暗号の並びの可能性は、4×30億、両親の染色体の組み合わせにより生まれる子供の可能性は、70兆にも達するそうです。ということは、私たち1人1人は70兆分の1の存在ということになります。まさに、子供は大自然から授かった奇跡の命です。私たちは、生きていることのありがたさに感謝して毎日を過ごしたいものです。

 なお、女の人の胎児期に最大700万個存在した卵細胞は、閉経までに減少の一途をたどり、一方、男の人の精子生涯に1兆個以上産生されるといわれています。人は、奇跡的な確率を経て生まれます。

  小数とは、ミクロの世界、1より小さい数のことで、ある単位を基準にとり、その十分の1から表されるのを常とし、分(ぶ、10の-1乗)、厘(りん、10の-2乗)、毫(もう・こう、10のー3乗)、糸(し、10の-4乗)、忽(こつ、10の-5乗)、微(び、10の-6乗)、繊(せん、10のー7乗)、沙(しゃ、10のー8乗)、塵(ぢん、10のー9乗)、挨(あい、10のー10乗)、となっています。この後、渺(びよう、10の-11乗)、漠(ばく、10の-12乗)、糢糊(もこ、10の-13乗)、逡巡(しゅんじゅん、10のー14乗)、須臾(しゅゆ、10のー15乗)、瞬息(しゅんそく、10の-16乗)、弾指(だんし、10の-17乗)、刹那(せつな、10の-18乗)、六徳(りっとく、10の-19乗)、虚(きょ、10の-20乗)、空(くう、10の-21乗)、清(せい、10のー22乗)、浄(じょう、10のー23乗)、と仏教語の数の単位が続き(算法統宗によれば、タダコノ名アリテ実ナシ、公私マタ用イズ)、浄(じょう、10のー23乗)が一番小さい数となります。小数が大数と違うのは、他の単位と重複していることで、分、厘は、銭貨の単位、毫、糸、忽、微などは、長さや面積、重さの単位としても使われていました。

 ヨーロッパでは、15世紀に入って小数の概念が現れていますが、東洋では極めて古くから小数が考えられており、0.1に分、0.01に厘などの名を付けています。

 また、環境分析における有害物質の定量にも使われている単位(分率)は、百分率(0.01、%、パーセント、per cent、1ドルの100分の1、10の-2乗)、千分率(0.001、‰、パーミル、per mill、1ドルの1000分の1、10のー3乗)、100万分率(0.0000001、ppm、パーツ パーミリオン、parts per million、100万分の1、10のー6乗)、10億分率(0.0000000001、ppb、パーツ パービリオン、parts per billion、十億分の1、10のー9乗)、となります。

 自然界のすべての物質は小さな粒子(りゅうし)、原子(げんし)から出来ています。その原子の大きさは、およそ1mの100億分の1(0.0000000001m、10のー9乗m)程度です。また、原子の大きさを直径200mのドーム型スタジアムにたとえると、原子核の大きさは、直径2cm以下の球に相当します。また、物質を構成する粒子1モル(6.0×10の23乗個)の質量は、原子量、分子量などにグラム単位をつけた値になり、水素原子は1.0g、水分子は18gとなります。

 微生物の大きさについては、各種ウイルスは0.0000001cm(10のー6乗cm)、大腸菌は2×0.00001cm(2×10のー4乗cm)ほどの大きさです。

 土壌環境分析において、特定有害物質(カドミウム及びその化合物、水銀及びその化合物、鉛及びその化合物など)の土壌含有量基準(直接摂取によるリスク)の指定基準は、それぞれ150ppm以下、15ppm以下、150ppm以下であり、また土壌溶出量基準(地下水等の摂取によるリスク)は、それぞれカドミウム(イタイイタイ病)は0.01ppm以下、水銀(水俣病)については、0.0005ppm以下、かつ検液中にはアルキル水銀は不検出のこと、鉛(鉛中毒)は0.01ppm以下です。

 ゼロ、0、という概念は、2段階に分かれ、ひとつは記号としてのゼロ、もう一つは数としてのゼロです。空位を表す記号としてのゼロであれば、メソポタミアの楔形(くさびがた)文字、エジプトのパピルス文書など、紀元前にも存在していました。それに対して、数としてのゼロとは、計算の対象に考えられた数としてのゼロのことを言い、インド起源であることが知られています。同じインドでも当初は記号のゼロが点や小円で表現され、そこから徐々に数のゼロに移行していったと考えられています。

 (れい)の字は、もともと滴(零)のことを言い、水をこぼすというのは、零す、と書きます。そこから派生して、種々の微細なものを表しました。空位の零は、中国数学に由良し、江戸時代にも使用されています。

 黄金比(おうごんひ)は、円に内接する正五角形における、一辺の長さと対角線の長さの比を与える数のことです。黄金比、黄金分割(おうごんぶんかつ、一つの線分を外中比に分割)は、1:(1+√5)/2、(ほぼ1対1.618; 5:8)です。長方形の縦と横との関係など安定した美感(ピラミッド、パルテノン神殿、ミロのビーナスなど)を与える比とされています。黄金比から生まれる、螺旋(らせん)状の自然界の形として、ヒマワリの種子(花)、巻き貝の渦、松ポックリ(松かさの描き出す模様)、アサガオのつる、気象衛星で見た台風、DNA(デオキシリボ核酸)らせん構造,銀河系、また、人間が作ったものとして、吹き抜けのらせん階段、ガウディのサグラダ・ファミリアの建造物など、中心から外に向かって拡大(発展)する姿が見られます。これらは、三次元空間(立体、動的)を最も効率的に利用できる形です。また、日常使っている、各種のカード、名刺、国旗の縦と横の比も、黄金比となっています。

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黄金比左上 ミロのヴィーナス左下 神奈川沖浪裏(葛飾北斎、富岳三十六景)、右の二つの建築 サグラダ・ファミリア聖家族贖罪教会、アントニオ・ガウディ)、スペイン、黄金比の謎

 白銀比(はくぎんひ、大和比)は、円に内接する正四角形における、一辺の長さと対角線の長さの比を与える数のことです。白銀比は、1:√2(ほぼ1対1.414; 5:7)です。日本の代表的な法隆寺の五重塔の造形(一番上の屋根と一番下の屋根の一辺の長さの比)、また、見返り美人図(菱川師宣)、秋冬山水図(雪舟東楊)などの絵画にも、白銀比が見られると考えられています。

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白銀比 見返り美人図(菱川師宣(ひしかわもろのぶ)、江戸中期、 秋冬山水図、雪舟東楊(せっしゅうとうよう)、室町後期、雪月花の数学

 また、畳の縦と横の長さの比は、白銀比となっています。畳を二つ合わせると真四角になります。曲尺(かねじゃく)を用いて、丸太の木から正四角形の角材を正確に切り取ると、木材を無駄なく使うことが出来ます。これらは、二次元空間(平面、静的)を最も効率的に利用できる形です。日常使っているA判用紙(A3,A4,A5)などの縦と横の比は、白銀比となっています。風呂敷は正方形ですが、種々の物を効率よく包むことができ、また、真四角の折り紙による、千変万化の折り紙細工の作品が創作されています。

(参考文献) 平凡社小百科事典編集部編: 小百科事典、平凡社(1973); 新村出編: 広辞苑(第4版)岩波書店(1991); 村上和雄(筑波大学名誉教授): 正論、子供は大自然から授かった奇跡の命、生命とは何か、の重要さを考える、産経新聞(朝刊)(2004); 増田秀光編: 空海の本、密教最大の聖者の実像と伝説を探る、大日本印刷株式会社(2006).; 桜井進: 雪月花の数学、祥伝社(2006); 渡邊泰治: 黄金比の謎、美の法則を求める、化学同人(2007); 吉田光由(大矢真一校注): 塵劫記、岩波文庫(2008).

(参考資料) 塵劫記: http://homepage1.nifty.com/zpe60314/jinkokiindex.htm; 塵劫記(序、玄光による命名):http://www5.ocn.ne.jp/~jyorin/3jinkouki.html; 黄金比: http://gakuen.gifu-net.ed.jp/~contents/museum/golden/page62.html ; 正五角形の対角線と外接円(黄金比): http://homepage2.nifty.com/sintakenoko/Construction/CGraph5B.html; 黄金比と白銀比(レポート、参考図):http://washimo-web.jp/Report/Ougonhi/ougonhi.htm

(追加説明) ○ コンピューター(計算機)においてよく用いられている記数法は、十進法(じっしんほう)ではなく、二進法(にしんほう)です。二進法では、実数を2つの数字、を用いて表す記数法です。

 例えば、整数1は2の0乗で1、2は2の1乗なので1つ桁があがり10、3は2の1乗+1なので11(10+1)、4は2の2乗なのでさらに桁が上がり100、5は2の2乗+1なので101(100+1)、6は2の2乗+2の1乗なので110(100+10)、以下、7は111、8は1000、9は1001、10は1010となります。数字の表記は単純ですが桁が大きくなっています。

○ コンピューターは、0と1の信号により計数するので、計算規則が単純であり、数字の桁が大きくなっても瞬時に計算できます。この0と1は、0(電気または光のスイッチを切る、offf、out)と1(電気または光のスイッチを入れる、on、In)として表せるので、デジタル(数字式、計数形)計算機で広く用いられています。 

 コンピューターにおける1ビット(bit)の記録がオン(on、1)、オフ(off、0)です。これは、デジタルコンピューターの扱うデータの最小単位、2進級の一桁(binary digiti)の略です。1バイト(byte)は8ビットで、2の8乗、1キロバイトは2の10乗、1メガバイトは2の20乗、1ギガバイトは2の30乗となります。

○ 音楽再生においては、デジタルアナログとの変換技術が必要です。現代のコンピューターは、0と1の2進法で表されるデジタルの計算機ですが、これを連続した波に戻すのがアナログの計算機です。

 これは、「どのような波も三角関数の波の足し合わせで表現できる」というフーリエの定理の「離散フーリエ変換」に基づき、電子計算機が高速に連立方程式を解いて、0と1から波を復元するものです。

 これは、フランス革命の頃、フランスの数学者、ジョゼフ・フーリエ(1768~1830)によって考え出された理論です。(朝日新聞: 桜井進の数と科学のストーリー、0と1→波、音なき音楽、2013年(平成25年)6月23日(日)朝刊より)

〇 私たち身体は、およそ60兆個の細胞で形づくられているそうです。その一つ一つにあるDNAを全てつなげると、およそ1200億キロ。光でも8分20秒かかる地球と太陽の間を、400往復するほどの長さである。壮大な宇宙の中では私たちはケシ粒のごとき存在ですが、その粒の中に生命の小宇宙が広がっているのである。

また、私たちの体内には、600兆ほどの数の細菌がすんでいるという。この膨大な細菌と共生するのに欠かせないのが免疫である。体内には、1000万という多様な免疫細胞が巧みな連携プレーを重ねており、実に1000万種類以上の病原体に対応できるそうです。(あっと驚く科学の数字(講談社)より)

〇 太古の昔、突然変異によってアミノ酸の合成能力を失った微生物あるいは植物が現れました。 致命的である。が、わずかでも自ら動く能力がことさら選抜された。失うことによって、より大きな力を得たのである!(風呂場椅子独り占め。これはヒトが自分の体内で合成できない必須アミノ酸9種類、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、---を丸暗記するための語呂合わせである。)

 動くことができれば、食物の探査、捕食者からの逃走、新しいニッチの発見が積極的にできる。動物生である!つまり、必須アミノ酸の必須こそが動物を動物たらしめた。欠損や障害は、マイナスではない。それは本質的に動的な生命にとって、常に新しい可能性の扉を開く原動力になります。(福岡伸一(生物学者)の動的平衡、失ってこそ得られるもの、朝日新聞、2015年、12月17日(木)朝刊より)

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