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2012年12月14日 (金)

空海(弘法大師)と書(風信帖、飛白書、雑体書)、五筆和尚、筆の誤り、筆を選ばず、とは(2009.11.13)

  古代(平安時代)、三人の優れた書道家、空海(弘法大師、くうかい)、橘逸勢(たちばなのはやなり)、嵯峨天皇(さがてんのう)は、三筆(さんぴつ)と呼ばれています。

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空海弘法大師真言宗、密教修験道 ): http://www.cnet-ga.ne.jp/kenta/mitsu/shingon.html

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王羲之(ウィキペディア): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%8B%E7%BE%B2%E4%B9%8B王羲之(画像、東京国立博物館展示、東京):http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1569

 空海(弘法大師)は、真言密教宗祖ですが、幼少より書に親しみ、王義之(おうぎし、中国)の書を学んでいます。遣唐使の留学僧として入唐後、多くの書論を読み、能筆家とも交わり、知識と技能を吸収し、三体楷書(かいしょ)、行書(ぎょうしょ)、草書(そうしょ)のほか、篆書(てんしょ)、隷書(れいしょ)、飛白書(ひはくしょ)、雑体書(ざったいしょ)まで、幅広く勉強して帰国しました。空海の書の特徴は、書域の広さ、思想や書論に裏付けられた奥の深さにあると言われています。

 空海から天台宗の宗祖最澄に宛てた、風信帖(ふうしんじょう、東寺)と呼ばれている、消息(手紙)は、最も有名な真蹟(しんせき)です。811年(弘仁2年)~813年(弘仁4年)頃、王義之(おうぎし)の書風を根底にした書写と言われています。

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風信帖(国宝、空海(弘法大師)、東寺(教王護国寺)、京都)

(訓読) 風信帖 風信雲書(ふうしんうんしょ)、天より翔臨(しょうりん)す。これを披(ひら)きこれを閲(けみ)するに、雲務(うんむ)を掲(かか)ぐるがごとし。兼ねて止観(しかん)の妙門(みょうもん)を恵まる。頂戴供養(ちょうだいくよう)し、おく攸(ところ)を知らず。すでに冷(れい)なり。伏して惟(おもん)みるに、法体如何(ほうたいいかん)。空海、推しはかること常なり。命(めい)に随いて、かの嶺(みね)に躋攀(せいはん)せんことを擬(ぎ)す。限るに少願を以てするも、東西すること能(あた)わず。今思うに、我金蘭(きんらん)及び室山(しつさん)と一処に集会し、仏法の大事因縁(だいじいんねん)を商量し、共に法幢(ほうとう)を建てて、仏の恩徳に報ぜん。望むらくは、煩労(はんろう)を憚(はば)からず、暫(しばら)くこの院に降赴(こうふ)せられんことを。これ望むところ、望むところ。忩々(そうそう)不具。釈空海状上。 九月十一日  東嶺金蘭(とうれいのきんらん) 法前 謹空 

(大意) お手紙をいただき拝読いたしますと、まるで眼前にたちこめた雲や霧が消えていくような気持ちになります。摩訶止観をご恵贈いただきありがとうございました。身のおきどころもないほどうれしいです。仰せに従って叡山に登りたいのですが、ひそかなる修禅に所定の期間を要し時間がなくて出かけられません。できれば室生寺の修円師と共にあなたとお話ししたく思っています。仏法のあるべきようについて相はかり、相ともに同じ旗印をかかげて、仏の恩徳に報いたいと存じます。ご足労ですが私の寺院へお越し下さい。

 雑体書とは、主として古文(金文)、篆隷(てんれい)から変化して起こった一種の装飾文字を総称していった言葉です。太陽、月、星、雲、山川草木、鳥、獣、虫、魚など、自然の物象を借りて、それらを文字の中に組み入れて作った文字を指し、それによって人間の思想や感情の表現を試みたものです。

 飛白書は、漢字の書体の一つで、刷毛(はけ)筆でかすれ書きにしたもので、広く解釈すれば雑体書の一つと言えます。後漢の蔡邕(さいよう)の作と言う。宮殿、神社などの扁額(へんがく、横に長い額)に用いられました。

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雑体書(十如是、部分)

 空海の著書、聾瞽指帰(ろうこしいき)には、雑体書法(飛白書含む)が見られるので、空海は入唐以前から雑体書に関心を持っていたと思われます。また、空海は、長安でより多くの書論を学ぶうちに、極めて特殊な雑体書飛白書の魅力にとりつかれ、密教の思想、人間の姿や感情を書で表現するのに最適と考えて、積極的にその書法を学びました。性霊集(巻四)で、飛白の書一巻、亦是れ在唐の日、一(ひと)たび此の体をみて試みに之を書す、とあり、別の項でも雑体書について詳しく述べています。そして帰朝後、嵯峨天皇に請来した、鳥獣の飛白一巻を献納しています。

 空海(弘法大師)の伝説、五筆(ごひつ)は、両手、両足及び口に筆をくわえて文字を書くことで、これを創(はじ)めたとされる弘法大師を、五筆和尚(おしょう)という。空海は、在唐中、その文章に卓抜した才を発揮されたばかりでなく、書においても皇帝から、五筆和尚、と称され、また送別の詩で、日本三藏空海上人は梵書(ぼんしょ)を能くし八体に工(たく)み、と賞賛されたと言われています。

 また、空海(弘法大師)の諺、弘法にも筆の誤りは、学芸に長じた者にも、時には誤りがあるという喩(たと)えで、猿も木から落ちる、と同じです。

 弘法筆を選(択、えら)ばずは、文字を書くのが上手な人は、筆のよしあしを問わないという喩えで、能書(のうしょ、のうじょ)筆を選ばず、と同じです。

 空海の書師、王義之(おうぎし、中国)、307?~365?は、東晋時代の官人、能筆家で、行書、草書にとくに優れ、書聖として、日本でも奈良時代には、尊重されていました。また、顔真卿(がんしんけい)、709~785?は、唐の官人、能筆家で、その書は王義之流に対し、隷書を楷書に取り入れた筆法で、新潮流を開き、空海の書に影響を与えたとみる説もあります。

(参考文献) 東寺(教王護国寺)宝物館編: 秋季特別公開図録、弘法大師の書とその周辺、便利堂(1987); 新村出編: 広辞苑、第四版、岩波書店(1991); 永原慶二監修: 日本史事典、岩波書店(1999); 高木訷元、岡村圭真編: 日本の名僧、空海、密教の聖者、吉川弘文館(2003); 木本南邨: 弘法大師空海、人と書、朱鷺書房(2003).

(参考資料) 三筆、三碩(京都市歴史資料館、文化史02): http://www.city.kyoto.jp/somu/rekishi/fm/nenpyou/htmlsheet/bunka02.html#1

風信帖(空海): http://images.google.co.jp/imglanding?imgurl=http://ofda.jp/column/image/fuusinjyogen.jpg&imgrefurl=http://ofda.jp/column/2006/01/&usg=__wIIQ16DWK2C_gvqgpZmiryxmYQE%3D&h=641&w=1233&sz=88&hl=ja&um=1&tbnid=QAvUqRNWsJ82aM:&tbnh=78&tbnw=150&prev=/images%3Fq%3D%25E9%25A2%25A8%25E4%25BF%25A1%25E5%25B8%2596%2B%25E7%25A9%25BA%25E6%25B5%25B7%26hl%3Dja%26rlz%3D1T4GGIH_jaJP278JP279%26sa%3DN%26um%3D1&q=%E9%A2%A8%E4%BF%A1%E5%B8%96+%E7%A9%BA%E6%B5%B7&rlz=1T4GGIH_jaJP278JP279&sa=N&um=1&start=6

雑体書(空海、飛白書含む、小林堂雑稿): http://blog.livedoor.jp/shorindo3/archives/2006-08.html

飛白体(好古斎):http://holms727.cocolog-nifty.com/blog/cat35228883/index.html

空海(書風、google画像): https://www.google.co.jp/search?q=%E7%A9%BA%E6%B5%B7%E3%80%80%E6%9B%B8%E9%A2%A8&hl=ja&rlz=1T4GGNI_jaJP523JP523&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=_WFNUoCeLsLClAWV-oDACA&ved=0CDcQsAQ&biw=1366&bih=588&dpr=1

王義之(書風、google画像):  http://images.google.co.jp/images?sourceid=navclient&hl=ja&rlz=1T4GGIH_jaJP278JP279&q=%E7%8E%8B%E7%BE%B2%E4%B9%8B&um=1&ie=UTF-8&sa=N&tab=wi

顔真卿(書風、google画像): http://images.google.co.jp/images?sourceid=navclient&hl=ja&rlz=1T4GGIH_jaJP278JP279&q=%E9%A1%94%E7%9C%9F%E5%8D%BF%EF%BC%88&um=1&ie=UTF-8&sa=N&tab=wi

性霊集(飛白書、空海、google画像): http://images.google.co.jp/images?gbv=2&hl=ja&sa=1&q=%E6%80%A7%E9%9C%8A%E9%9B%86%E3%80%80%E9%A3%9B%E7%99%BD&btnG=%E7%94%BB%E5%83%8F%E6%A4%9C%E7%B4%A2&aq=f&oq=&start=0

真理の花たば(第三十号): カレンダー平成十八年度(飛白書、雑体書、四国六番安楽寺 弘法大師講本部) 弘法大師著書、秘蔵寶鑰(ひぞうほうやく)より

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春種不下 秋實何獲 (はるのたねをくださずんば、あきのみをいかんがえん)、始めなければ何も始まらない  平成18年(2006年)7月 四国六番安楽寺 山主 畠田秀峰 竹筆書   

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畠田秀峰四国六番安楽寺 山主、google画像検索): https://www.google.co.jp/search?q=%E7%95%A0%E7%94%B0%E7%A7%80%E5%B3%B0+%E7%94%BB%E5%83%8F&hl=ja&rlz=1T4GGNI_jaJP523JP523&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=xmRNUumXOYzFkwWF1oGQBw&ved=0CCsQsAQ&biw=1366&bih=588&dpr=1

(解説) 弘法大師は、空海筆を下せば文成り、書法に於いて最もその妙を得たり、と続日本後記(835年、承和2年)にあるが、今に至っても書道においては弘法大師の右に出る人はいないといわれている。 

 その大師の末徒として、大師の書蹟を鑑賞し、学ぶことは最もよろこびとするところであり、筆を持ち遊びはじめてもう三十五年になろうとしているが、いまだに納得のゆく線の引けないままである。 

 此度、精進の筆、竹のみを使用した竹筆を用いた。この文は、弘法大師ののこされた秘蔵寶鑰の中から選んだもので、意味がわかりやすいように現代語訳を下に添えることにした。

 お盆の頃、安楽寺を訪れた時、真理の花たばのカレンダーを畠田秀峰住職から拝受、いろいろご教示いただきました。

○ 永字八法(えいじはっぽう)  書法伝授の一法。「永」の一字で、すべての文字に共通する八種の運筆法。側(そく、点の祖)・勒(ろく、横画の祖)・努(ど、縦画の祖)・趯(てき、跳の祖)・策(さく、短横画の祖)・掠(りゃく、撤の祖)・啄(たく、短撤の祖)・磔(たく、捺の祖)の八種を示したもの。中国の後漢の蔡邕(さいよう、132~192)の考案?という。 永字八法(ウィキペディア): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E5%AD%97%E5%85%AB%E6%B3%95. 蔡邕(さいよう、132~192):http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/0/0na/07141000/

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