« 白山(石川)のふもとに湧き出る名水、弘法池の水(釜清水)、白山霊水(白山比咩神社)、杉森地蔵水(杉森集落)と湧水の水質(ヘキサダイヤグラム)、とは(2010.7.6) | トップページ | 加賀地方(石川)の銘酒(地酒、甘、辛)と名水(白山と医王山系の伏流水)、酒米の王様(山田錦)、とは(2010.7.12) »

2012年12月17日 (月)

医王山(石川)のふもとに湧き出る湯涌温泉と霊験あらたかな医王山の水、医王石(石英閃緑ひ岩)、とは(2010.7.9)

   医王山(いおうぜん)は、石川と富山の県境に位置し、白山山地の最北端の山で、金沢市の郊外の東方にあり、奈良時代、養老年間(717~724年)、白山の開祖、越の大師、泰澄大師(たいちょうだいし)、682年~767年(神護景雲元年)によって開かれ、かっては台密(たいみつ、天台密教)の霊場として隆盛を極めていた、と伝えられています。医王山は、最高峰を奥医王(標高939m)とする山群で、流紋岩質(りゅうもんがんしつ)緑色の凝灰岩(ぎょうかいがん)類からなり、植物は600種をこえ、そのうち薬草は約120種、薬石(医王石)などの宝庫として有名です。

医王山(いおうぜん、白兀山、しらはげやま、奥医王、おくいおう(標高939m)、キゴ山など含む、手前は卯辰山、うたつやま、その右は金沢城の石垣の採石場となった戸室山、とむろやま(標高548m)、さらに手前は金沢中心街、新石川県庁(鞍月、くらつき、金沢)、19階展望ロビー(地上約80m)より、google画像)

(解説) 医王山(いおうぜん)は、流紋岩質の緑色凝灰岩が主に分布し、一部に流紋岩の溶岩をはさんでおり、中新世前期(約1800~2000万年前)の火山活動によってつくられた火山岩や火山砕せつ岩(かざんさいせつがん)、すなわち、医王山火砕岩層からできています。溶岩の青灰色を青戸室、噴火の際の酸化作用で赤色になったものを赤戸室と言い、金沢城の石垣にも利用されています。これは岩石の中の鉄成分の原子価が、Ⅱ価からⅢ価へ変化したことによると思います。

Japan05s51  

湯涌温泉街(ゆわくおんせんがい、湯涌、金沢、google画像) 湯涌温泉(ウィキペディア): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B9%AF%E6%B6%8C%E6%B8%A9%E6%B3%89

(解説) 医王山のふもとの標高400mの高原に、718年(養老2年)、里人が羽根を痛めた白鷺(しらさぎ)が湧き出る湯で傷をいやしているのを見て発見したと伝えられ、藩政時代には、加賀藩主のかくし湯治湯(とうじゆ)でもあった湯涌温泉(ゆわくおんせん)があり、大正の初め、ドイツで開かれた万国鉱泉博覧会で、世界三大名泉の折り紙がつけられています。

 また、医王山の中腹には、八幡神社(日吉神社)があり、その裏山に古くから万病に効く有名な霊験あらたかな、医王山の水が湧き出しており、かっては神社境内までポンプで水が引かれ、一般市民に飲料水として提供されていました。

 水質(1994年)は、pH7.5、カルシウムイオン8.4ppm、マグネシウムイオン4.3ppm、ナトリウムイオン7.5ppm、カリウムイオン3.9ppm、重炭酸イオン38.9ppm、塩化物イオン9.5ppm、硫酸イオン2.6ppm、硝酸イオン4.7ppmなどの成分を含む名水でした。ppmは百万分率で100万の中の1の割合にあたる非常に少ない量です。

 水質(1994年、ヘキサダイヤグラム解析図)は、浅い地下水に分類されるカルシウムイオンー重炭酸イオン型とよく似ていました。(用語解説、各種イオン、ヘキサダイアグラム解析含む): http://unit.aist.go.jp/georesenv/gwrg/glossary.html.)

Images1_291

医王石(いおうせき、緑色、医王山、金沢市、石川、google画像)

(解説) 医王山の水が湧き出している所には、一般に医王石と言われる石英閃緑ひ岩(せきえいせんりょくひがん)の岩盤地帯があり、岩はミルク色がかった緑色で、水を吸収しやすい特性を持つので、この山の水は岩盤の間を通る間に、カルシウム、ナトリウムなど岩の成分を溶解しながら不純物が濾過(ろか)され、地表へは蒸留水に似た無菌状態で流れ出ると言われています。このため水は長期保存しても腐敗せず、味もまろやかでした。

○ 1983年(昭和58年)~1986年(昭和61年)、湯涌温泉の温泉水、医王山の霊水と岩石の成分を調べ、それらのつながりを調べました。

 湯涌温泉泉温は、33~34℃、pH7.85~7.96,蒸発残物量(じょうはつざんりゅうぶつりょう、mg/l、ppm)は、2891~2912でした。一方、医王山の湧水は、水温6~13℃、pH6.65~7.62、蒸発残物量(mg/l、ppm)は、35~86でした。

 泉温は、温泉水は30℃を越えていますが、湧水は10℃前後と低い山の水でした。水のpHは、温泉水と湧水では大きな差はなく、中性から弱アルカリ性ですが、蒸発残留物量は湧水の場合、温泉水に比べ著しく少なかったです。これらを光学顕微鏡で観察したところ、温泉水の蒸発残留物では、塩化物と硫酸塩の針状結晶が、湧水の蒸発残留物では無機塩以外に藻類らしきものが少し見られました。

 湯涌温泉(湯及出旅館)の泉質は、含石膏(がんせっこう)弱食塩泉であり、医王石は、日本の代表的な標準岩石(JG-!, Granodiorite、花開閃緑岩)類似、湧き水は溶解成分の少ない淡水でした。特に、温泉水には、ストロンチウム、ルビジウム、臭素(しゅうそ)などの元素が検出されましたが、湧き水には全く検出されませんでした。医王石では、ストロンチウム、ルビジウムは検出されましたが、臭素は検出されませんでした。

 ということで、湯涌温泉と医王山の湧水中の大部分の成分が、医王石の壁岩からの溶出に由来し、その際、泉温が大きな因子になっていることは、温泉と湧水の蒸発残留物量からも明らかだと思います。

 現在、医王山は、石川と富山の両県において、県立自然公園に指定されており、特に、石川県では、医王山県立自然公園(1996年)として、医王山スポーツセンター、医王山ビジターセンター、キャンプ場、スキー場など整備され、一般市民にはよい憩いの場所となっています。

(参考文献) 人文社観光と旅編集部: 郷土資料事典(石川県、観光と旅、県別シリーズ22)、人文社(1967); 北国新聞朝刊: 霊水ブーム、医王山のわき水、1983年、5月21日(土); 石川県温泉開発研究会編: 温泉の開発、No、14、22(1972); 絈野義夫: 北陸の地質をめぐって(日曜の地学6)、築地書館(1979); 本浄高治: 医王山の麓に湧き出る湯涌温泉と湧水の溶存成分について、温泉工学会誌、21巻、p.50~55(1987); 石川化学教育研究会編: 科学風土記、加賀・能登のサイエンス、p.117~118、日吉南賀子、医王山と戸室山、裳華房(1997).

(参考文献) 医王山(いおうぜん、金沢市、石川): http://www.sakane.net/kanazawa/iouzen/iouzen.htm

ゆわく(金沢の奥座敷、湯涌温泉観光協会、湯涌町、金沢): http://www.yuwaku.gr.jp/

 医王石(いおうせき、原石、金沢、google画像): http://www.google.co.jp/images?hl=ja&rlz=1T4GGIH_jaJP278JP279&q=%E5%8C%BB%E7%8E%8B%E7%9F%B3%E3%80%80%E5%8E%9F%E7%9F%B3&um=1&ie=UTF-8&source=og&sa=N&tab=wi

○ 金沢城の石垣と戸室石(戸室山、金沢)、石曳き(運搬の再現、金沢城三の丸)、野面積み(本丸北面石垣)、打込接ぎ(本丸南面石垣)、切込接ぎの石垣(石川門枅形東面石垣)、とは(2010.7.22): http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/102.html

 金沢の水(金沢市企業局、石川): http://www2.city.kanazawa.ishikawa.jp/web/kanazawawater/index.html

○ 兼六園の中の名水、金城霊沢と金沢神社の手水舎の水、金沢市内の湧水の水質(ヘキサダイヤグラム)、とは(2009.6.7): http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-b450.html

« 白山(石川)のふもとに湧き出る名水、弘法池の水(釜清水)、白山霊水(白山比咩神社)、杉森地蔵水(杉森集落)と湧水の水質(ヘキサダイヤグラム)、とは(2010.7.6) | トップページ | 加賀地方(石川)の銘酒(地酒、甘、辛)と名水(白山と医王山系の伏流水)、酒米の王様(山田錦)、とは(2010.7.12) »

● 温泉、熱水(岩間噴泉塔、湯涌温泉、辰口温泉、玉造温泉、道後温泉)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1802629/48356427

この記事へのトラックバック一覧です: 医王山(石川)のふもとに湧き出る湯涌温泉と霊験あらたかな医王山の水、医王石(石英閃緑ひ岩)、とは(2010.7.9):

« 白山(石川)のふもとに湧き出る名水、弘法池の水(釜清水)、白山霊水(白山比咩神社)、杉森地蔵水(杉森集落)と湧水の水質(ヘキサダイヤグラム)、とは(2010.7.6) | トップページ | 加賀地方(石川)の銘酒(地酒、甘、辛)と名水(白山と医王山系の伏流水)、酒米の王様(山田錦)、とは(2010.7.12) »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

カテゴリー

フォト

アクセス解析

無料ブログはココログ