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2012年12月12日 (水)

白山の麓の岩間の谷底から噴き上がる熱水(岩間噴泉塔)、噴泉塔の表面を色どる藍藻の温泉水浄化、とは(2009.7.14)

  古来、人は、富士山(ふじさん、3776m、静岡、山梨)、立山(たてやま、3015m、富山)、白山(はくさん、2684m、石川、福井、岐阜)を日本三名山と呼んでいます。いずれの山も休火山であり、富士山の近くには温泉も多く、立山の頂上近く、地獄谷には硫黄塔(いおうとう)が噴気を吐き出しており、また、白山の岩間(いわま)の谷底には、噴泉塔(ふんせんとう)の熱水が、勢いよく噴き上っています。

 この岩間噴泉塔が発見されたのは、1829年(文政12年)で、世界的にも珍しい現象として、1957年(昭和32年)、国の特別天然記念物に指定されています。

 白山の北の麓の標高800mの山間に、昔から登山者に親しまれた湯治湯の一つの岩間温泉があります。ここは白山への登山口、楽々新道の起点で、白山室堂へは約14km、10時間の健脚コースとなっています。元湯は岩間温泉から約3.5km登ったところにあり、ここからさらに1.6kmほど山を下った中ノ川谷間噴泉塔があります。この岩間の噴泉塔は最大4mほどの高さを持つ石灰華(せっかいか)の塔で、その先端から高温の温泉水を噴出しています。

 この噴泉塔表面には藍藻類(らんそうるい、高温で生育する単細胞の藍藻)が繁茂して色どりをそえており、かってはその数30本以上で、高さ70~80cm、温度80~100℃のものが多く、高温の湯が噴き上がり、湯煙につつまれている光景はまさに壮観です。

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岩間噴泉塔(1988年(昭和63年)、尾口、石川)

(解説) 岩間噴泉塔群は、新岩間温泉から中の川に沿って約3.5km上流にあります。噴泉塔は、温泉水が噴出してできた釣り鐘状の石灰華(炭酸カルシウム)ですが、比較的低温において結晶したものは方解石(ほうかいせき)であり、一方、高温において結晶したものは方解石とアラゴナイト(霰石、あられいし)の混合物であることが確かめられています。

 岩間噴泉塔(泉温87℃、pH8.30、含重曹・弱食塩泉)の温泉水中の常量および微量成分(ppm、百万分率)として、カルシウム(47.78)、マグネシウム(1.4~5.9)、ストロンチウム(1.92)、ナトリウム、カリウム(24.64)、ルビジウム(0.02)、マンガン(0.11)、鉄(0.19)、アルミニウム、ケイ素、塩化物イオン(310.6)、臭化物イオン(4.23)、硫酸イオン(146.5)などが検出されました。

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岩間噴泉塔の藍藻の顕微鏡写真(左 100倍、 右 400倍、丸い形をした単細胞の藻類が藍藻

(解説) 温泉産の藻類には、藍藻類、緑藻類、接合藻類、鞭毛藻類など13種の藻類が確認されています。噴泉塔の表面で群落を形成している藍藻(風乾試料)には、鉄(84ppm)、マンガン(201ppm)など、温泉水中の成分を取り込み濃縮していることも分かりました。このことは、藍藻が温泉水中の微量重金属の環境汚染が拡がるのを抑えている姿にも見えます

 噴泉塔は、1年間で10~60cmほども生長し、その一生は20数年で、意外に短いようです。噴泉塔の頂上で噴き出している温泉水の噴出が限界に近づくと、頂上部が細く尖(とが)りはじめて塞(ふさ)がり、温泉水も出なくなり、藻類も死滅し、降雨で洗い流されて白い石灰の塔になってしまいます。この噴泉塔も軟らかいため、雪崩(ゆきなだれ)などによって消滅していきます。しかし、川底や川岸の壁の近くで、新しい小さな噴泉塔の誕生が見られます。

(参考文献) 米田勇一: 植物分類地理、第11巻、p.211(1942); 大橋茂: 総合研報化学編、p.90(1955): 石川県温泉開発研究会編: 温泉の開発、14巻、p.22(1972); 絈野義夫編著: 北陸の地質をめぐって(日曜の地学6)、菊地書館(1979); 本浄高治、畠重康、八田昭夫: 岩間噴泉塔の化学的研究、温泉工学会誌、18巻、1号、p.1-10(1983); 神谷威: 岩間噴泉塔群の調査書(金沢大学教育学部)、p.1-38(1987)、日本海域研究所報告(金沢大学)、19、p.51-71(1987); 本浄高治: 白山山麓の噴泉塔と温泉成分・温泉植物、温泉科学、44巻、33号、p.104-111(1994). 

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