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2013年7月12日 (金)

微生物の利用、微生物と呼ばれるもの、細菌・酵母・カビなどによる発酵食品、医薬品などの生産、微生物電池、水素づくりへの応用、とは(2013.7.12)

 私たちの周りには、肉眼ではほとんど見えない小さな生物がたくさんいます。それらはまとめて微生物(びせいぶつ)と呼ばれています。

 微生物には、細胞DNA(デオキシリボ核酸)の特徴により、細菌(バクテリア、乳酸菌、納豆菌、ブドウ球菌、大腸菌、放線菌、コレラ菌、ペスト菌など)、古細菌(アーキア、高度好熱菌、高度好塩菌、メタン生成菌など)、真菌(カビ、酵母、キノコなど)、原生生物(ゾウリムシ、粘菌、アメーバ、ミドリムシ、藻類など)に分けられています。

 細菌は、1マイクロメートル(1000分の1ミリ)の前後で、球状、棒状、らせん状などの形をしています。 カビ(黴)は綿毛のような胞子が菌糸という糸状の構造の上についた形となっています。 酵母菌(イースト菌)は特徴の少ない円か楕円の形をしています。

○ 微生物の利用

1.発酵食品の生産

  発酵は、人間にとって、微生物を利用して有用物質を生産する手段ですが、微生物には、有機物を分解してエネルギーを得る手段となっています。

 微生物が有機物を分解するとき、人の役に立つときには発酵、有害なときには腐敗と呼んでいます。みそ、しょう油、清酒、ビール、ワイン(ブドウ酒)、パン、チーズなどの発酵食品(はっこうしょくひん)は、微生物の細菌・酵母・カビなどの力を利用したものです。

 日本発酵食品には、カビと細菌類、カビと酵母菌、あるいはそれら3種類の微生物の組み合わせを利用したものが多い。 

 酵母で酒(エタノール)をつくり、発生したガス(二酸化炭素)でパンを膨らませ、乳酸菌でヨーグルトやぬか漬け、キムチをつくり、納豆菌で納豆をつくっています。みそやしょうゆにはコウジカビを使い、多種多様のチーズもさまざまなカビの働きによるものです。というわけで、微生物の存在を知らなかった大昔から、人類は発酵の効用を経験的に知っていました。

 また、カビは、食品の腐敗や、ヌメリや悪臭の発生など有害な面もありますが、枯れた植物や動物の死骸などを分解するなど、自然界の掃除(汚染の浄化)の働きもしています。

2.医薬品の生産

 人に有用な医薬品は、土にいる微生物が有機物を分解する際に出す酵素をもとに開発されてきました。例えば、カビが出す物質から、抗生物質(ペニシリン、セファロスポリンなど)、高脂血症薬(プラバスタチン)、免疫抑制剤(サイクロスポリン)などの医薬品がつくられました。 また、アフリカや中南米の河川盲目症治療薬(イベルメクチン、メクチザン)が米メルクと大村智さん(77歳)チームの共同研究で開発されています。伊豆半島で見つけた放線菌(細菌)が特効薬の元だという。

 カビ酵母、キノコなどの真菌で、実態が分かっているのは約10万種で、地上には、まだ140万種に近い未知な真菌がいると言われています。青カビから抗生物質のペニシリンができたように、有用なものが自然界に潜んでいるかもしれません。

 昨年11月下旬、南シナ海に浮かぶベトナムのコンダオ島で、日本とベトナムの菌ハンターたちがジャングルに分け入り、医薬品や健康食品の開発に役立つ新種の微生物を探しています。

 なお、私たちの腸内には500種類以上、約100兆個の細菌がいて、重さは計1~1.5キロで、病原菌の侵入を防いだり、免疫力を高めたりしています。

 1993年(平成5年)に生物多様性条約が発効し、「動植物や微生物の権利は、それらが生息する国(資源国)にある」との考え方が広まりました。今では、新種を見つけても、資源国への利益配分を考慮する必要があり、それを資源国の外に無断で持ち出して利用することが許されない時代になっています。

3.微生物電池、水素づくりへの応用

 スプーン1杯の土には数十億の細菌がいて、有機物を分解する際に電子を放出するものもいます。その電子を電極に取り込んで電気を起こし、携帯電話を充電したり、LEDライトをともせるようになっています。(米国、ハーバード大学医学部アビバ・アイデンの研究チーム)

 微生物電池による汚水処理装置の開発において、発電菌に工場排水を浄化させ、同時に電気を取り出して、ポンプの稼働や施設内の照明、計器などの電力をまかなう研究が進められています。(日本、東京大学・東京薬科大学・パナソニック・積水化学の研究チ-ム)

 また、食品や農業の廃棄物微生物に分解させて水素をつくるという研究が日本や欧米で進んでいます。 最近では、広島県内の下水処理場の汚泥の中から水素をつくるPEH8菌を発見し、有害なメタン生成菌と乳酸菌をホップを使って取り除き、効率的に水素を生産する研究が進められています。(日本、サッポロビール、三谷優研究チーム)

 ところで、青い地球が生まれたのも微生物の力だという。25億年ほど前、酸素のほとんどなかった地球に、光合成をする微生物が現れ、大気中の酸素が増えていきました。この微生物が、植物の葉緑体の元になったとされています。ということで、微生物を知ることは、生命の起源と進化に迫ることにもなります。

(参考文献) 日本化学会編: 化学ってそういうこと! 夢が広がる分子の世界、p.64~65、発酵と腐ることはどう違うの?化学同人(2003); 太田次郎 山崎和夫編: 理科総合A(改訂版)、物質とエネルギー、p.88~89、微生物の利用、啓林館(2006); The Asahi Shimbun Globe: G-1菌のちから、G-2ケータイを充電する土の電池、G-3ビール会社ならではの知恵、G-4菌ハンターたちの宝探し、G-5台頭する資源ナショナリズム、G-6被災地の文書をカビから救え、G-7菌大国・日本の財産、2013年(平成25年)2月17日(日); 朝日新聞: 科学 熱帯救った日本の菌、大村智さんの発見 抗寄生虫薬に 毎年4万人の失明を防ぐ薬を生んだ男、2013年(平成25年)6月24日(月)朝刊.

(参考資料) ○ 乳酸菌(にゅうさんきん)、乳酸菌の働きによって作られている食品(ヨーグルト、チーズ、乳酸飲料、漬物、醤油、味噌など)、ポリ乳酸(プラスチックの素材)、とは(2012.7.27)http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/264.html.

○ 数字(大数、小数)と図形(黄金比、白銀比)にまつわる歴史実話、東洋、西洋の思考、感性の違い、とは(2009.9.5): http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/28.html

(追加説明)

〇 冬虫夏草

 昆虫に寄生し、死骸からキノコを発生させる菌類は「冬虫夏草」と呼ばれている。これはセミやトンボ、ハチなどのさまざまな昆虫を宿主としており、世界の500種類のうち400種類は日本でも確認されている。中国では古くから滋養強壮などの秘薬として重宝され、日本でも漢方薬や健康食品として利用されている。

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冬虫夏草 兼六園で採取された冬虫夏草の「オオセミタケ」、右 会場に並べられた冬虫夏草の標本や写真、標本には県内で採取されたものが多く、中には金沢市の兼六園で採取されたオオセミタケもある。(2017年7月12日(水)、中平雄大、北陸中日新聞より)

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