記憶と物忘れ、記憶にはものごとを理解して覚えた記憶と棒暗記(丸暗記)がある、本当に忘れる方が頭がいい、とは(2013.9.10)
大脳では、パルス(興奮)という電流のようなものが流れています。140億もある脳細胞や、脳細胞から無数に出た神経突起の中を流れているパルス(興奮)、すなわち記憶は、こうした電子頭脳のようなメカニズムの中で行われています。
この記憶には2種類あり、ものごとを理解して覚えた記憶では、パルスは一度側頭葉(そくとうよう)を通り、大脳の記憶の倉庫である海馬(かいば)に行きます。 一方、棒暗記(丸暗記とも)では、パルスはいきなり海馬に行くといわれています。
その結果、一度理解して覚え、眠ると、記憶の”焼き付き”がより強くなり、忘れなくなります。幼少の頃のことでも、火事の記憶とか、叱られた時のことをよく覚えているのはこのためです。一方、試験の徹夜、棒暗記では、記憶の”焼き付き”が弱く、テストが終わるとすぐ忘れてしまいます。
ところで、いくら頭が良くても、海馬の記憶容量には限度があります。それゆえ、忘れていかないと次の記憶がはいらないことになります。それに、もし人間が忘れない動物であれば、地球上の全ての人がノイローゼになってしまいます。
記憶容量は、コンピューターでは、記憶装置(メモリー)に貯えうる情報の量のことで、ビット・バイトなどの単位で表されるものです。記憶は、必要な情報を保持しておくことです。人間の記憶は、物事を忘れずに覚えている、または覚えておくこと。また、その内容のことです。
ということで、重要なことは、人間は新しく覚えたために、古いことを忘れるのか、忘れることが先で、それから覚えるのか、ということです。が、その記憶のメカニズム(機構)については、まだよく分からない、とのことです。
今のところ、一度録音したテープに、次に新しいものを録音すると、うまい具合に順に消えていくように、人間の記憶にもそのようなメカニズムがあるのではないか、と言われています。
健忘症とか、もの忘れが早いとかいって、とかく忘れる人は、あわて者と同じように軽べつされがちです。が、大脳生理学者にいわせると、本当に忘れる方が頭がいい、とのことです。
(参考文献) 新村出編: 広辞苑(第四版)、岩波書店(1991); 樋口清之監修: 生活歳時記(第二版)、p.611 頭がいいほど忘れる、三宝出版(1994).
(参考資料) 海馬(脳科学辞典、東京都医学総合研究所):http://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%B5%B7%E9%A6%AC.海馬は、大脳における記憶の倉庫の働きをしています。
物忘れと認知症の違い(いい介護どっとこむ): http://iikai5.com/dementia/cause2.html.物忘れは、加齢による記憶力の低下です。一方、認知症は脳の病気であり、適切な治療が必要です。
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