くすり(薬)の語源、くすし(奇し)、古代、病気は神の祟(たた)りとする神気(かみのけ)と呼び、神気をはらう薬は、くすし(奇し、霊妙な)力があると信じられていました、近世、富山の売薬の起源、とは(2014.5.26)
くすり(薬)とは、広辞苑によれば、病気や傷を治療するために服用、または塗布・注射するもの。その語源については、一説に、くすし(奇し)と同じか、と説明されています。 また、くすし(奇し)とは、人知でははかり知れない、不可思議である、霊妙である、人間離れしている、などと説明されています。
○ くすり(薬)の語源
古代、古墳から平安時代、医療と呪術(じゅじゅつ)が密接に関係していた時、疫病(えきびょう)は神の意志によるもので、どんな神でも、人間が神を犯すようなことがあれば、祟(たた)って病が起きると信じられていました。
病気は神の祟(たた)りであるとするところから、神気(かみのけ)と呼んでいたという事実もあります。 神気(かみのけ)をはらう薬は、やはりくすし(奇し、霊妙な)力があると信じられていました。
薬物(やくぶつ)という文字は、553年(欽明天皇14年)、日本書紀のところに「ヌト書、暦本、種々の薬物、付送れ」とあるのが最初です。
江戸中期の国語学者・谷川士清(たにがわことすが、1709~1776、津、三重)は、その著書「日本書記通證」の中で、「薬は久須利(くすり)とよむ、奇験をもって名を得たらしいが、また一説には草作(くさす)の意味もある。 薬(和漢薬など)には草類(薬草)が多いからだろう」と解説しています。 谷川士清(ウィキペディア): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E5%A3%AB%E6%B8%85.
○ 富山の売薬の起源
檀那場廻(だんなばまわり、檀配札活動に出向く衆徒、立山山麓、富山、google画像)
(解説) 富山の売薬の起源は、近世、江戸時代、立山信仰に基づく修験者(山伏)の檀那場廻(だんなばまわり、檀家の布教など)、諸国配札(しょこくくばりふだ、お札の配付など)だとも言われています。
立山修験者が行っていた、先用後利(せんようこうり、配置家庭薬)という商売方法に、薬(和漢薬など)の安定生産が加わることによって、富山の売薬は盛んになりました。
(参考文献) 新村出編: 広辞苑〈第4版)、岩波書店(1991); 樋口清之監修: 生活歳時記(第2版)、p.291 「くすり」の語源、三宝出版(1994).
(参考資料) 富山の売薬にまつわる歴史伝承、反魂丹(腹痛薬)、先用後利(配置家庭薬)、おまけ(土産、進物)、とは(2010.4.14): http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/70.html.
« ヤマボウシ(山法師、ミズキ科、日本原産)、丸い蕾を法師の坊主頭に、花びらのような白い総苞片を頭巾に見立てた、真っ白い花のようで美しいヤマボウシの街路樹の景色(2014.5.22) | トップページ | 新緑の季節(5月27日)、示野中橋近く、犀川の遊歩道沿いと堤防斜面に繁茂している野草刈りの風景(2014.5.27) »
「● 民俗(衣食住、信仰、語源、遺跡、芸能)」カテゴリの記事
- 盤持石(ばんもちいし、力石とも)、神社や寺院に置かれた楕円形の重い石で、古代、持ち上げて吉凶や願い事の成就を占い、江戸から明治では娯楽や鍛錬の力試し石、戸水八幡神社(金沢市)の盤持石、とは(2014.10.17)(2014.10.17)
- ニシンの漢字、鰊とか鯡の語源、鰊(れん)の字は中国では「小魚の名」、鯡(ひ)の字は「フナに似た魚の名」、または「魚卵」、アイヌ語では「数の子(かずのこ)」、とは(2014.6.1)(2014.06.01)
- ひょんな言葉の語源、けりがつく、へっぴりごし、てんやわんや、たたら踏む、とは(2014.5.29)(2014.05.29)
- くすり(薬)の語源、くすし(奇し)、古代、病気は神の祟(たた)りとする神気(かみのけ)と呼び、神気をはらう薬は、くすし(奇し、霊妙な)力があると信じられていました、近世、富山の売薬の起源、とは(2014.5.26)(2014.05.26)
- 世界文化遺産、富士山(山梨、静岡)、諺 一富士二鷹三茄子、唱歌 ふじの山 富士は日本一の山、浮世絵風景画 富嶽三十六景 赤富士、山岳信仰 日本三名山の富士山、とは(2013.12.1) (2013.12.01)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: くすり(薬)の語源、くすし(奇し)、古代、病気は神の祟(たた)りとする神気(かみのけ)と呼び、神気をはらう薬は、くすし(奇し、霊妙な)力があると信じられていました、近世、富山の売薬の起源、とは(2014.5.26):
« ヤマボウシ(山法師、ミズキ科、日本原産)、丸い蕾を法師の坊主頭に、花びらのような白い総苞片を頭巾に見立てた、真っ白い花のようで美しいヤマボウシの街路樹の景色(2014.5.22) | トップページ | 新緑の季節(5月27日)、示野中橋近く、犀川の遊歩道沿いと堤防斜面に繁茂している野草刈りの風景(2014.5.27) »
コメント